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函館本線の旅。【道南旅行記④】

3泊4日の北海道旅行の3日目。

この日は札幌から函館本線(山線)経由でほぼ普通列車のみで一気に函館へ向かいます。

廃止が決まってしまった函館本線山線区間や、

長万部以南のキハ40系の様子をお送りします。

 

 

2022年9月5日 (月)

 

北海道最大のターミナル駅、札幌。

近郊へ向かう普通・快速列車はもちろん、道内各地への特急列車も起終点としています。

 

札幌 9時12分 → 小樽 9時45分 快速エアポート85号 小樽行き

少しゆっくりめのスタート。

733系の快速エアポートで小樽へ向かいます。

 

銭函~朝里は海岸線を走行します。この日は曇り模様。

 

小樽に到着。乗り継ぎの列車まで1時間ほど簡単に観光します。

小樽は高校のスキー旅行以来。

 

お決まりの小樽運河

平日ですが見かけるのは観光客らしき人ばかりです。

 

手宮線の廃線跡。軌道が残され、横を歩けるようになっています。

 

特に施設に入るようなことはせず、歩いて街の雰囲気だけ味わって駅に戻りました。

 

小樽駅4番線ホームの「4」はヨットで表されています。

 

 

函館本線(山線)

 

小樽 10時53分 → 倶知安(くっちゃん) 12時12分 普通 倶知安行き

 

小樽から先は非電化となります。

函館へ向かうルートの内、海側を通る千歳線室蘭本線経由のルートに対して、

小樽・倶知安経由の区間は山線と呼ばれています。

札幌から函館まで、海側ルートでは318.7kmであるのに対し、

山線経由のルートでは286.3kmです。

函館本線のみを経由する方が距離が短いにも関わらず、旅客・貨物ともに

千歳線室蘭本線経由へとシフトしていったのは沿線の都市の多さや線形の違い等

様々要因があるでしょう。

優等列車が運転されなくなり、ほぼ普通列車のみが運転されてきた山線非電化区間は、

JR北海道が経営のスリム化をせまられるようになり北海道新幹線の札幌延伸が

近づくことを機に存廃が議論されるようになり、

とうとう今年2月~3月に沿線自治体が廃止・バス転換を容認しました。

函館本線は新幹線と引き換えに長万部~小樽 140.2kmを失うことになります。

そんな山線非電化区間の列車に乗車です。

 

H100形の2両編成で運転される倶知安行き。

平日にも関わらず車内は満席・立ち客が出る混雑ぶり。

ウイスキーで有名な余市への観光客が含まれていたようで、

余市で結構な降車がありました。それでも混雑は続きます。

余市から先は、線路が一気に内陸へ引っ込むため、車窓は草。

 

廃線が決まったとはいえ、小樽~倶知安間は然別や余市までの区間列車を含め

16.5往復の列車が運転されており、札幌直通列車も運転されています。

JR北海道の他の廃線区間と比べると大胆な判断を下したものです。

余市から小樽へは通勤通学利用が多いとして余市町が鉄道存続を求め、余市~小樽間の廃線決定は長万部余市間の廃線決定より1ヶ月遅れました。

 

倶知安の一駅手前、小沢駅。国鉄時代、岩内線の分岐駅でした。

駅舎側にホームの名残が見えます。

 

屋根に覆われた真新しい車庫が見えると倶知安に到着です。

 

倶知安北海道新幹線の停車駅となる予定で、工事に先立ち

在来線ホームの移設が行われました。旧ホームは駅舎側に解体途中で残っていました。

 

倶知安駅舎。国鉄時代、伊達紋別への胆振線分岐駅で、立派な駅舎をしていますが、

これも新幹線建設に伴い建替えられることでしょう。

 

駅前の様子。各方面へ向かうバス路線も発着しています。

新幹線早期開業を求める文字が。新幹線は8年後に開業する予定です。

 

倶知安 12時35分 → 長万部 14時11分 普通 長万部行き

なんとなくの悪い予想は的中し、現れたのはH100形の1両編成。

先ほどからほとんど変わらない数の乗客は1両に詰め込まれます。

 

倶知安長万部間は本数がガタ減りし、通しの列車は4.5往復しかありません。

それだけ普段の利用が少ない区間であるということ。

限界まで本数が減らされた区間に格安乗車券の長距離客が集うと必然的に混雑が起きます。かといって増結は行われないのです。

青春18きっぷ期間であるからか、明らか乗り鉄ではないスーツケースを持った旅行客も車内に散見されました。

ほどなくしてニセコに到着しましたが、乗降はほとんどありませんでした。

 

昆布駅。ちなみに根室本線には昆布盛駅があります。

 

倶知安から35分ほど、蘭越駅。

長万部まで50kmほど残してここが最後の比較的人が住んでいるところ。

当駅始発の札幌行き快速『ニセコライナー』が設定されています。

 

蘭越駅の辺りは一瞬平地となり視界が開けます。

が、すぐに山へと線路は分け入っていきます。

二股駅は貨車駅舎。思い切った造りがいいですね。

二股駅と黒松内駅との間には蕨岱駅がありましたが2017年3月に廃止されています。

 

室蘭本線と合流して長万部駅に到着。

ここも北海道新幹線の停車駅となる予定で、クレーン車がそれらしき工事をしています。

1日目に訪れた小幌駅は、ここから室蘭本線で17km、3駅先にあります。

 

長万部駅舎。

 

駅からは道路の先に海が見えます。

 

長万部(おしゃまんべ)という町。鉄道好き界隈では名のある地名ですが、さほど大きな町ではありません。

 

1日の乗降客は特急停車駅であるにも関わらず300人を割る状況。

普通列車に関しては3方向ともに非常に少ない設定となっています。

接続もあまりよくありません。

 

長万部 14時37分 → 森 15時20分 特急北斗12号 函館行き

青春18きっぷで移動してきましたが、ここで特急課金です。

次の普通列車まで2時間以上あるためやむなく。

 

列車は内浦湾沿いを高速走行します。

 

今でこそ特急列車が運転されている函館本線ですが、

北海道新幹線が開業すると特急列車は廃止され、並行在来線として

小樽~長万部~函館までまるっと第三セクターに経営移管される予定でした。

しかし、小樽~長万部の廃止・バス転換が決まり、長万部以南の区間でさえ

長距離旅客を失った後の経営が危ぶまれており、旅客営業を続けるかの議論が

されている最中です。「旅客営業を続けるか」というのは、この区間は対本州の

貨物列車が多く通過する区間であり、貨物専用の線路として生き残るという選択肢も

ありうるからです。仮にそうなった場合、在来線旅客鉄道の空白が出来る珍しい

事態に。北海道で地域輸送のみで鉄道を運営するのはそれだけ厳しい状況になって

いる、ということがいえそうです。

 

お昼ごはん。小樽駅で購入した「ほたてめし」。

駅弁ではありませんが売店で売っていました。おいしかったです。

 

 

43分の快適移動はあっという間。森駅に到着です。

 

留置線にはキハ40が貫通路開けっぱなしで待機していました。

 

森駅も内浦湾に面した駅。かもめが並んでいます。なんてのどかなんでしょう。

 

ここから函館本線が二手に分かれるため、

双方を走る列車があり普通列車の本数が増えます。

 

先に構内入換を行っていたキハ40が2番線に入線。

 

続いて先ほど口を開けて寝ていたキハ40が入換のち3番線に入線。

3番線の列車が渡島砂原・鹿部経由の函館行き。

左側2番線の列車が駒ヶ岳大沼公園経由の大沼行きです。

 

函館所属の気動車はキハ40形のみ。

キハ40の運用範囲でまだH100形の投入がされていない唯一のエリアです。

 

森 16時03分 → 函館 17時43分 普通 函館行き (渡島砂原・鹿部経由)

時間のかかる砂原支線経由の普通列車でのんびり函館を目指します。

もとい、存分にキハ40を堪能します。

 

車両はキハ40形1700番台の1800号車。

きれいな数字ですが少なくとも改番を過去に2回しています。

追いかけると沼にはまりそうなのでやめておきます。

今の北海道のキハ40の最も一般的な形です。

非冷房のため窓が開いています。

つい最近まで行き先サボを使用していましたが、取り扱いが取りやめられ残念。

 

キハ40から見るキハ40。このような光景もあと何年見られるのでしょうか。

 

運転台。

 

窓を開けてしばし出発を待ちます。

北海道のキハ40は残っている車両は全てエンジン換装が行われています。

 

砂原支線へと列車は入っていきます。

平日ですが学生の利用はさほど、といった様子。

 

砂原支線は駒ヶ岳経由の路線よりあとに開業した区間で、距離が遠回りなため

特急列車は走行しません。大沼駅で本線に再び合流します。

大沼へ向けて上り勾配ですが、勾配がゆるいため、上り方向のみ貨物列車や以前の客車列車が走行します。

私は急行『はまなす』で以前この区間を通過しているはずですが、夜中であったため

実質的にこの日が初乗車です。

 

森から20分。渡島砂原駅

集落同士を結んで開業したはずなのに町までは遠そうな雰囲気です。

 

列車はゆっくり走りながら徐々に高度を上げているのがわかります。

遠い海がちらっと見えました。

 

鹿部駅。「鹿部はこっちだ!」の、あの鹿部です。

 

鹿部から大沼まで14.6kmありまして、その間に銚子口・流山温泉・池田園の

3駅が存在していましたが、利用者の減少で今年3月のダイヤ改正にて一斉に廃止されてしまいました。

 

大沼公園の森の中を進むともうすぐ大沼駅

 

大沼駅に到着。見えているのは先ほど森駅で並んでいた駒ヶ岳経由の普通列車

8分遅く森駅を出発し、20分早く大沼駅に到着しています。

なんかのトリックに使えそうなダイヤだな。

 

大沼駅から函館本線は再び二手に分かれます。8の字になっているんですね。

新函館北斗駅を超えた仁山駅で合流します。

分かれ相手は下り線専用の駅のない線路で、藤城線と呼ばれています。

貨物列車と一部の普通列車が通過し、かつては特急列車も通るルートでしたが

新函館北斗駅開業時に全列車が本線経由に改められました。

 

小沼を右手に見ながら。

 

勾配を下りながら、だんだんと函館の街が見えてきました。

 

17時17分、新函館北斗駅に到着。

北海道のキハ40から見る新幹線はなんだか新鮮に映ります。

 

新函館北斗より先は電化区間となり、新函館北斗折り返しの新幹線アクセス列車

はこだてライナー』には733系電車が使われます。

 

藤城線の高架が見え、合流すると仁山駅

だんだんと車内の乗客は増えていきました。

 

17時43分、定刻通り函館駅に到着。

 

「ようこそ函館へ。」

函館駅のこの頭端式ターミナルが旅情を感じてなんだか好きな自分がいます。

 

道南いさりび鉄道(旧JR江差線)でもJRから譲渡されたキハ40が使用されています。

翌日乗車することになります。

この日は函館に宿泊。

 

函館ローカルフードその①

ハセガワストア』のやきとり弁当。

とりと言いつつ豚串です。北海道の他の地でも見られる文化のようで。

出来たてを提供してくれるので香ばしくておいしかったです。

 

 

夜は函館山にバスで登りました。

何も見えない中を走りながら突如車窓に現れる中腹からの夜景がきれいだったな。

鮮やかに撮れるのがスマホ、現実的に撮れるのがカメラ、というのも学びました。

(写真はスマホです。)

 

 

 

長時間のご乗車お疲れ様でした。

翌日は半日ほど函館を観光したあと、北海道脱出の旅です。

道南いさりび鉄道線青函トンネルが出てくるよ。お楽しみに。