3泊4日の北海道旅行の2日目後半です。
この日の前半は日高本線を旅していましたが、
前日、北舟岡駅で乗り遅れをやらかしたおかげで
苫小牧~東室蘭が重複するも向かうことになった室蘭へ。
道中、室蘭本線を走行する珍しい車両に乗車することになりました。
2022年9月4日 (日)
苫小牧 16時25分 → 東室蘭 17時29分 普通 東室蘭行き
一路、東室蘭へと向かいます。
この旅2回目の乗車、キハ143形です。
この車両はこの苫小牧~東室蘭が運用のホームです。
この車両がタイトルにもある客車改造気動車(PDC)なのですが、
解説は構成の都合上、後半でたっぷりとすることにします。
721系もそうですが、苗穂の車両は窓がこんなになってることが多いです。
北海道特有の理由でもあるのでしょうか。
明るくても景色は楽しめません。
苫小牧からの室蘭本線は、青葉、糸井と苫小牧市街地の駅が数駅続くため、
座席が埋まる程度の混雑でしたが、数駅して座れました。
1時間ほどで東室蘭に到着。
東室蘭 17時36分 → 室蘭 17時47分 普通 室蘭行き
見てくれは特急列車です。
札幌から室蘭へ一日6往復している特急『すずらん』。
室蘭支線内を普通列車として運行されています。
青春18きっぷで特急型車両に乗れるとやはり嬉しいです。
ゆったりシート。とても快適です。
車両は1990年デビューの785系。
経年車ですが設備はリニューアルされています。
室蘭支線内、各駅に停まっていきます。
市街地ですが配置が無人であろう小駅に停まっていくので不思議な気持ちになります。
10分ほどで終着の室蘭に到着。
785系の中間運転台は使用しないため設備が撤去されています。
札幌~旭川の特急『スーパーホワイトアロー』としてデビュー当初
4+2の編成を組んで繁忙時6両、通常時4両で運行されていましたが、
現在は5両固定編成を組んでいます。
廃車が進み5両2編成しか残っていないレア車両です。
車両前部にはLEDで列車愛称やマーク等を切り替え表示できる表示器があります。
JR黎明期にデビューした車両らしい設備です。
自分が旅をする原動力はこれかもしれません。
室蘭駅。
半島のような場所に位置している室蘭市街地の中心駅です。
この日の夕飯に、室蘭名物カレーラーメンをいただこうと有名店に足を運んだところ…
営業時間短縮ですでに閉店。
すぐ近くにある支店に行くも閉店。
計画が崩れました。
リアルゴーストタウン、室蘭。
開いているのか閉まっているのかわからない店が中心部にもかかわらずたくさんありました。
飯を探しに街を歩いている間に日は暮れ、もし見つかっても今度は食べる時間があるか微妙な時間になって一度駅に戻ってみると、臨時列車が運転されていることを知り、ちょうど出発時刻であったために飛び乗りました。
H100形の2両編成でした。
どうやらこの日と前日、室蘭の港の方で祭りがあったようで、それによる臨時列車だったようです。
カレーラーメンではありませんが、室蘭にあるラーメン店の支店が東室蘭の駅前にあることを知り、乗り換えの待ち時間もあったため醤油チャーシュー麺をいただきました。
カメラを持っていたことから「祭撮ってきたんか?」と話しかけてくれた店主。
前日にあった花火の動画を見せてくれ、祭は撮っていないが旅の途中で
これから札幌へ向かうことを伝えると「一人旅は気ままでいいよな~気を付けてけよ~」と送ってくれ、味もお店もとても温かかったです。
臨時列車に救われました。
無事に夕飯にありつけたところで列車の旅再開です。
この日の宿は札幌です。
キハ143形~最後のPDC~
東室蘭 19時39分 → 苫小牧 20時44分 室蘭本線 普通 苫小牧行き
前日と全く同じ列車。当然車両も同じキハ143形が充当されています。
ここで散々引っ張ってきたこの車両を少し解説。
キハ143形は51系一般型客車を気動車化改造して誕生したものです。
51系客車は製造からわずか十数年で余剰となったため、それらを活用して札幌近郊の札沼線の輸送改善が図られました。
改造は苗穂工場を始め、北海道内各地の自社工場が担当。なんという技術。
キハ143形はキハ141系列の内の一グループ。
キハ142形はキハ54形と同様のエンジンを装着。
キハ141形はキハ142形の反対向きでキハ142形の半分のエンジンを装着。
これら2形式は非冷房・デッキ残存で1990~1994年に製作されましたが、
その性能強化版として作られたのがこのキハ143形でした。
駆動システムはキハ150形と同等とされ、最高速度は驚異の時速110km/h。
冷房を搭載し、スムーズな乗降対策としてデッキも廃されました。
このじゃじゃ馬性能を札沼線で抑えるべく、エンジンを持たない付随車のキサハ144形まで製作されました。(もはや客車)
客車から気動車への改造はコストや車両重量の関係から失敗とされることが多い中、
51系客車がもともと軽量に作られていたこともあり、数少ない成功例として
ちょうど10年前の2012年に札沼線が電化され、キハ141系列は多くが廃車となる中、
711系電車の置き換え用として白羽の矢が立てられたのが強性能のキハ143形。
ワンマン改造が施され、架線下にも関わらず室蘭本線を爆走してきました。
車内はこんな感じ。
座席は2+1列のボックスシートを基本に車端部はロングシートです。
デッキの仕切り跡が残り、この位置から見るとどことなく客車の雰囲気が残っているように見えます。
窓は酷寒地仕様の二重窓となっています。
この位置から見ても客車。
牽かれてるのではなく自走で110㎞/h出してるんだからすごい。
防音がしっかりしているからかわかりませんが、車内にいても大きいエンジンの唸りを感じることはありません。
頑張ってる感じはせず、不気味にスーッと速度を出しています。
きっと特急・貨物街道の室蘭本線の軌道がいいのも関係しているんでしょう。
苫小牧に到着。
車体はもうボロボロです。
客車時代から経年40年を迎え、さすがに老朽化が隠せなくなってきたことから
JR北海道はワンマン運転ができる新型の737系電車の投入を発表。
最後のPDCは来年春には置き換えられてしまう予定となっています。
この機会に乗車できてよかったです。
※JR東日本に譲渡された釜石線『SL銀河』用の同車も遠くない引退が発表されています。
後からやってきた特急『北斗』がキハ281系の運用でした。
説明不要、北海道の振り子気動車の始祖です。
このキハ281系も9月30日を以て定期運用が終了となることが発表されていました。
メタリックなこのボディーも見納め。
1990年代の振り子気動車ってどれも側面が似ていますね。
リニューアルされた座席。
行先表示器はフルカラーLEDに交換されていました。
ドアは共通してプラグドアです。
走り去って行きました。
函館行き特急はキハ261系に統一されることとなります。
JR北海道は特急列車・普通列車共に世代交代が急速に進んでいます。
この二日間、拠点とした苫小牧を後にするため、大きい荷物をピックアップします。
22時11分に札幌駅に到着です。
JR北海道おなじみの縦書き駅名ホーロー看板。
これまでどの駅にもあった『サッポロビール』の広告部分が消されている駅を多く見た気がします。スポンサー料の関係でしょうか?
寂しい気がします。
さて、三日目は廃線議論が話題の函館本線(山線)に乗車します。
そのままほぼ普通列車で函館へと向かいます。
お楽しみに。