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各駅停車の行先は… 鉄道旅行記中心のブログです。

キュンパスで行くミニ新幹線ツアー。

今年の2月から3月にかけて、JR東日本から格安のフリー乗車券が

発売されていました。その名も、

『旅せよ平日!JR東日本たびキュン♥早割パス』

といいました。(通称:キュン♥パス)

西日本の民ですが、ちょうど平日に休みがとれたため、利用してきましたので

その旅行記をお送りします。

 

 

キュン♥パスとは

 

2024年2月中旬から3月中旬にかけて、JR東日本のインターネット予約サイト

えきねっと』で発売されていた格安フリーきっぷ。

新幹線を含むJR東日本全線と一部の第三セクター線が一日乗り放題であり、

特急券の効力もありながら発売価格はなんと10,000円

指定席も2回まで利用が可能でした。

新幹線で東京~新青森を日帰り往復しても10000円というわけです。爆安。

過去にほぼ同じ範囲のフリーパスで『JR東日本パス』というのがありましたが、

三日間利用可能で22150円でしたので、単純比較は難しいものの、

商品名からして春休みの学生向けの商品であり、

日帰り旅行やライブ遠征等に使えるというのは大きかったのではないでしょうか。

 

今回はこれを使用し、JR東日本の2つのミニ新幹線を利用する旅。

 

 

 

2024年2月16日(金)

 

早朝6時20分の横浜駅

JR東日本エリアなのでここからキュンパス利用開始です。

 

夜行バスで関東入りしたのですが、強風による風規制の影響でバスが30分程

遅れている旨の案内があったため、東京駅行きのバスを途中下車しました。

新幹線は予約済みであったため、乗り遅れるわけにはいきませんからね。

 

しかし、自分が思っていたほど早朝の東海道線(上野東京ライン)の本数が少なく、

各駅に停車する京浜東北線に乗らざるを得ずに東京駅まで時間がかかって、

東京駅での乗り換えがかなりタイトになりました。

 

 

 

山形新幹線 つばさ号の旅

東京 7時12分 → 新庄 10時54分 山形新幹線 つばさ123号 新庄行き

 

今回利用するのは、『つばさ』123号 新庄行きです。

山形新幹線の利用は今回が初めて。

 

 

山形新幹線は、東北新幹線と在来線の奥羽本線を直通運転する

いわゆる新在直通列車(ミニ新幹線)の第一弾として1992年に山形駅までで

運転を開始。現在は新庄駅まで運転されています。

新幹線と在来線では車両の大きさ・線路の幅が異なるため、

在来線区間の線路幅を標準軌に広げる工事を行い、

在来線サイズの小さな車体で東北新幹線に乗り入れています。

つばさ号は日中、毎時1本程度運転。半数程度は途中の山形まで。

福島駅までは一部を除いてやまびこ号と併結して運転されています。

 

 

つばさ・やまびこ123号は、E3系つばさ号E2系やまびこ号の併結。

E2系のほうは200系新幹線の復刻塗装の編成でした。

 

2024年3月16日のダイヤ改正から、山形新幹線にE8系という

新型車両がデビューすることとなっており、E3系は順次置き換えが始まります。

合わせて併結するやまびこ号も全てE5系となり、

E2系山形新幹線の組み合わせは見納めとなっています。

 

 

E3系は在来線に合わせた車体幅となっているため、東北新幹線の駅に停車

しているときにはステップを出してホームとの隙間を埋めています。

 

 

京浜東北線から約4分での乗り継ぎはヒヤヒヤしましたが、

ホーム上の売店で食料の調達も済ませて無事に乗車。

7時12分、定刻で東京駅を出発しました。

 

車掌による案内によると、やまびこ号、つばさ号共に

指定席は満席の予約をいただいているとのことでした。

ビジネス客だけでなく観光客も多いようで、外国人観光客の姿を車内でよく見ました。

 

 

 

大宮駅を過ぎて、上越新幹線の線路と分かれます。

 

関東平野を最高時速275km/hで駆け抜けます。

この日、空はめちゃめちゃ晴れていましたが、

全国的に強風が吹き荒れているようで、この列車についても

減速して運転をする場合があるという案内がありました。

 

LRTの開業で盛り上がる宇都宮に停車。

わずかな停車時間の間に、はやぶさ号を先に通します。

 

遠くに見える山々は雪を被っています。

 

那須塩原新白河駅を通過し、福島県に入ります。

郡山駅では遅れている在来線を待ちました。

 

 

東京から約1時間30分、福島駅に到着。

約4分の停車時間でやまびこ号から分かれます。

 

約3分遅れて福島駅を出発。

つばさ号単独となって、連絡線を地上へ下りていきます。

ここからは在来線の奥羽本線を走行。

走行速度も一気にダウンします。

 

福島~米沢間は県境の山越え区間

福島駅を出て十数分で車窓は一気に険しくなります。

 

この区間はスノーシェルターに覆われた駅をよく見かけます。

峠越えの勾配が厳しく、山形新幹線運行開始前までは

赤岩・板谷・峠・大沢と、4駅連続でスイッチバックをしていました。

その引き上げ線跡がまだ残っている駅があります。

 

牛。 峠を下って、米沢に到着です。

降りていく人がけっこういました。

米坂線は乗り換えですが、

米坂線は2022年8月の豪雨災害により、今泉~坂町が不通となっており、

現在も代行バスによる運行が行われています。

 

東京から約3時間で山形駅に到着。

7割程度の乗客が山形駅で下車していきました。

 

 

山形より先は1999年12月より乗り入れが開始した区間です。

 

 

山形駅から次の北山形駅までは左沢線の列車が、

さらに一駅先の羽前千歳駅までは仙台行きの仙山線の列車が乗り入れます。

山形~羽前千歳間は狭軌標準軌の単線並列区間となっていて、

羽前千歳駅手前では両線路が平面で交差をします。

 

山形盆地を走ります。

山形のこの地方はフルーツ王国で、さくらんぼやラフランスが栽培されます。

停車駅にさくらんぼ東根なんて駅も登場します。

 

 

空いてきたので車内の紹介。

乗車しているのはE3系2000番台で、

初代山形新幹線である400系の代替として2010年頃投入されたグループ。

 

普通車指定席の座席はこんな感じ。

当初より窓側座席にコンセントを装備します。

置き換え対象となっていますが、古さは全く感じません。

 

山形盆地を抜けて少し山間部を走行し、小国川を渡るともうすぐ新庄です。

 

10時54分、定刻で終着の新庄駅に到着です。

 

2編成のE3系が並びます。

右側は11時17分発の、つばさ140号 東京行き。

 

デビューを目前に控えたE8系を待ちわびる広告。

東北新幹線内の最高速度は300km/hに向上し、所要時間も短縮されます。

 

 

 

 

 

 

つばさ140号が出発していきました。

 

 

山形新幹線は在来線の走行区間が長いため、

区間を乗り通すと3時間半以上と、所要時間も長めです。

ネックとなっている峠越えの福島~米沢間に

トンネルを建設する構想があるなど、まだ高速化に向けて今後も動きがあるようです。

 

 

新庄駅は駅中央に通路が渡してある面白い構造。

線路幅が異なり、直通運転ができないことを逆手にとった構造です。

 

 

奥羽本線 新庄~大曲間はローカル線

新庄 11時22分 → 秋田 14時11分 奥羽本線 普通 秋田行き

 

東北地方のローカル電車といえば、の701系普通電車に乗車します。

 

奥羽本線の新庄~大曲間 98.4kmについては、

普通列車のみが運行されるローカル区間となっています。

新庄発の列車は日中、2時間に1本程度の運転ですが、

山形・秋田県境を越える列車は3時間半ほど間隔が開くところも。

院内駅より先、秋田県側では毎時1本程度の運転となります。

 

 

新庄駅を出てすぐは平野部を走行しますが、すぐに山間へ。

 

山へ分け入るにつれて積雪が多くなってきました。

難読駅及位(のぞき)駅の付近が一番雪深かったような。

 

平地に降りても秋田県側は吹雪でした。

院内駅を過ぎた辺り。

 

沿線に果樹園が見えます。

 

新庄駅を出る頃に座席が埋まる程度であった乗車率は、

県境へ向かうに連れ減っていく一方でしたが、

秋田県に入り湯沢駅辺りからかなり多くなり、

横手駅へ着く頃には満員となっていました。

テストか行事帰りの高校生が多かったことも一因でしょうか。

 

大曲駅で大半が下車し、再び列車はガラガラになりました。

 

 

大曲~秋田間は秋田新幹線が走行する区間

横手・新庄方面へ直通するため在来線は狭軌のまま、

標準軌の新幹線との単線並列区間となっています。

秋田まで51.7kmありますが、途中に大きな町がないため

秋田新幹線に停車駅はありません。

 

 

14時11分、定刻で秋田駅に到着。

隣には、あまり見ない車両がいました。

小牛田駅駐在のジョイフルトレイン、『びゅうコースター風っこ』です。

 

臨時の快速列車、『SNOW YOKOTE』に充当されるようです。

横手はかまくらが有名ですが、今年は暖冬の影響で

横手周辺では雪を見なかったような…。

 

風っこは、キハ48形をトロッコ風に改造した車両。

冬なのでさすがに窓がはめてあります。

乗客はパラパラと乗車していて、お弁当なんかを食べていました。

 

 

秋田へ来たのは、秋田新幹線に始発から乗車するため。

2時間ほどありましたが、昼食をとる以外に何も考えておらず、

暖冬とはいえ寒かったので駅から出ず、お土産見たりして時間をつぶしていました。

 

 

秋田新幹線 こまち号の旅

秋田 16時12分 → 東京 20時04分 秋田新幹線 こまち38号 東京行き

E6系新幹線の『こまち』に初乗車。

 

E3系とは比べものにならないほど長い前頭部。

このシャープな形状で、東北新幹線内での320km/h運転を実現しています。

 

 

秋田新幹線は、東北新幹線盛岡駅から在来線の田沢湖線奥羽本線へ直通する

新在直通列車(ミニ新幹線)の第二弾として1997年に運転を開始しました。

秋田新幹線の運転開始に伴い、田沢湖線標準軌へ改軌され、

奥羽本線(秋田~大曲)は狭軌標準軌の並列区間とされました。

『こまち』は、定期列車は毎時1本程度の運転で、

盛岡~東京間で、東北新幹線最速列車の『はやぶさ』と併結しています。

現在運行されているE6系は二代目車両で2013年にデビューしています。

 

私は先代のE3系時代に利用したことがあり、E6系には初めての乗車です。

 

 

 

普通車指定席の車内。

車体が在来線の幅であるため、2+2列の配列です。

 

座席はこんな感じ。

モケットの色は秋田の稲穂の色をイメージしているそうです。

 

16時12分。夕暮れの秋田駅を定刻で出発。

秋田出発時点では4割程度の乗車率。

 

秋田の車両基地の横を通過。

大曲までは奥羽本線を快走します。

 

田んぼの多い地帯を走行。

次第に山が迫り、谷間を走行します。

 

花火の競技大会で有名な大曲から田沢湖線に入ります。

この駅で進行方向が切り替わります。

このため、秋田駅時点では座席が逆向きにセットされています。

 

角館付近までは平野部を走行します。

 

みちのくの小京都、角館に到着。

田沢湖線普通列車の本数が少ないため、短区間でも『こまち』の利用があります。

 

『こまち』は全車指定席ですが、秋田~盛岡間の短区間利用者向けに

空席を利用できる特定特急券の制度があります。

今回利用している『キュン♥パス』についても特急券の効力があるため、

特定特急券・キュンパス利用者で座席の指定を受けていない人は、

指定席券を持つ人が来たら席を譲るようしきりに案内がありました。

 

角館時点で、窓側の座席が埋まり、相席となる座席もちらほら。

田沢湖駅を過ぎて秋田・岩手県境の山間部を走行。

車窓は暗くなってしまったので撮っていません。

 

約1時間半で盛岡に到着。新青森からの『はやぶさ』と併結します。

『こまち』側の車両にも盛岡から多く乗車があり、満席近くなります。

東北新幹線内は最高時速320km/h運転を行います。

この速度差を体感できるのがミニ新幹線の醍醐味かも。

 

 

秋田から2時間17分で仙台に到着。

乗客は入れ替わるも、なおも満席近い乗車率をキープ。

混雑は大宮まで続きます。

東北新幹線内は盛岡・仙台・大宮・上野のみに停車し、終点の東京に着きます。

 

20時04分、終着の東京に定刻通り到着。

所要時間でいうと、山形新幹線(東京~新庄)と10~20分しか変わらないんですね。

 

前につながっていたE5系はやぶさ

新幹線同士の併結、西日本では見られませんね。

 

 

ここまででも、とんでもない距離を移動してきたんですが、

このまま在来線を利用して西へ帰るため、この日の内に

『キュン♥パス』の恩恵を最大限受けるためまだ移動します。

 

 

ここは静岡県熱海駅

東海道本線の、JR東日本エリア最西端の駅です。

東京駅より2時間かけて普通列車で移動してきました。

 

特急『湘南』に乗れれば楽だったんですが、すでに指定席の権利を2回使ってしまい、

『キュン♥パス』は先ほどの新幹線の特定特急券の代わりとして使えても、

全車指定席の特急で発売される座席未指定券の代わりでは使えません。残念。

 

今宵の宿は、さらにJR東海エリアに足を延ばした沼津です。

熱海駅で一度改札を出場し、普通乗車券を購入しました。

211系の富士行き普通列車で、沼津駅に到着したのは22時56分です。

 

 

総移動距離:1392km! (横浜駅起算)

ただ新幹線に乗ってるだけの大旅行でした。

(たぶん)最後にE3系に乗車できてよかったです。

 

 

次回からは、静岡県の私鉄路線をめぐりながら西へ帰る旅です。

お楽しみに。