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JR越美北線・えちぜん鉄道三国芦原線の旅。【福井乗り鉄2023②】

昨年3月の旅行記です。

関西から日帰りで福井県のJR線・私鉄に乗る旅。後半戦です。

福井鉄道にほぼ全線乗車してから、えちぜん鉄道(以下えち鉄)勝山永平寺線

勝山までやってきました。

京福バス越前大野へ抜けるところからスタートです。

 

 

2023年3月21日(火)

 

福井県勝山市勝山駅前の様子。

ここにも恐竜。

勝山市福井県立恐竜博物館のある町です。

 

勝山駅前からはバス路線の発着があります。

勝山市コミュニティバスや、恐竜博物館への路線(訪問時は運休中)がある中、

今回乗車するのは京福バスの勝山・大野線です。

 

京福バス 勝山・大野線は、

勝山市の勝山総合病院から勝山駅を経て、大野市のJR越前大野駅

ショッピングモールのヴィオを結ぶ路線。

本数はさほど多くなく、土・休日は3.5往復しかありません。

福井県内の鉄道路線を乗りつぶす時、時間短縮に使えますが、

運行時刻に注意が必要です。

 

発車時刻まで20分以上時間があったので、

勝山の市街地へバス停2つほど歩くことにしました。

 

 

勝山橋で九頭竜川を渡ります。

勝山の市街地は川を渡った対岸にあります。

 

福井県立恐竜博物館が見えます。

白い球体のような建物が新しくできたので見つけやすくなりました。

訪問当時はそれを含めたリニューアル工事で休館中でした。

 

本町通り商店街。

城下町勝山にあって、伝統的建築の建物が多く残っています。

 

サンプラザ前停留所からバスに乗車します。

車両は中型車。

2017年式の日野 レインボーでした。

 

約30分の乗車。

途中からの乗車もありましたが、

勝山市街から越前大野駅までの乗車がやはり多かったです。

 

余談ですが、

京福バスの左ウインカーは、

「カッチンカッチン」と実際に鐘を鳴らしているような音が

大きく流れる特徴的なものとなっています。

 

 

 

JR越美北線(九頭竜線)

越前大野駅

駅舎前の歩道部が瓦屋根で覆われています。

雪が降ったときに役立つのでしょう。

 

越前大野駅は、越美北線内で一番大きな駅。

既にみどりの窓口は閉鎖されていますが、

待合室があり、各種パンフレットが置かれていたり、

掲示物はそのままでにぎやかな様子でした。

この日は寒く、待合客はみなストーブを囲っていました。

まだかなり時間がありますが、多くは福井行きを待っている様子。

 

ホームは島式ホーム一面二線ですが、側線を持ちます。

 

車庫のようなものがあり、除雪や工事に使用される車両の

拠点ともなっています。

構内にはJR金沢支社で最後まで使用された腕木式信号機が残されています。

 

越前大野 13時47分 → 九頭竜湖 14時22分 越美北線 九頭竜湖行き

 

キハ120形単行の九頭竜湖行き。

九頭竜湖方面は本日の2番列車にあたります。

下車客はありましたが、なおも立ち客がいる状態で出発。

18きっぷシーズンの祝日なので仕方ないです。

 

 

越美北線は、北陸本線(現:ハピラインふくい線)の越前花堂駅から分岐して、

福井県大野市九頭竜湖駅まで52.5kmを結ぶローカル線。

もともとは岐阜県美濃太田駅までを結ぶ『越美線』として計画され、

岐阜県側でも郡上市北濃駅までが越美南線(現:長良川鉄道)として

開業しましたが、九頭竜湖北濃の県境区間未成線となっています。

越前大野駅が運行上の拠点となっていて、福井~越前大野間の列車が7.5往復、

九頭竜湖まで通しの列車はそのうち4.5往復しかありません。

 

もともと運行本数が少なめである越美北線ですが、

コロナ渦の2021年、JR西日本が地方線区の運行本数を見直そうとした過程で

地元に対してダイヤ改正における減便対象の列車本数を提示しました。

地元紙の報道によると、越美北線全体の8割の列車が減便対象であることがわかり、

末端の越前大野九頭竜湖については全ての列車が減便対象とされ、

廃止または運行休止となるのではないかと一時話題となりました。

結果、2021年10月のダイヤ改正では福井~越前大野で午前中の1往復が

減便となるのみで落ち着きましたが、その騒ぎ以降、訪問者が増えている

印象のある越美北線です。

 

 

柿ヶ島駅より先は山間部を走行します。

九頭竜川沿いに走る道路には覆いがあり、地形・気候共に厳しい場所であることが

わかります。

越美北線が途中、勝原駅まで開業したのが遅く1960年で、

勝原から九頭竜湖まで延伸したのが1972年。

延伸区間は深い山の中ですが、土木の力で解決する鉄建公団建設線で、

長大トンネルと橋梁でぶち抜きます。

その区間はわかりやすく運転速度が上がります。

 

越前大野より35分で終着、九頭竜湖駅に到着。

 

同じ列車で折り返しますが、時間は10分しかありません。

 

九頭竜湖駅はログハウス風の駅舎。

こんなところにも恐竜。

 

九頭竜湖駅簡易委託駅で、乗車券を販売する窓口があります。

 

九頭竜湖駅の外観。

写真には写っていない左側に道の駅九頭竜とファミリーマートがあります。

単純な折り返しでは立ち寄りは厳しそう。

 

車止め。ここで線路は途切れています。

 

越美線はここから県境を越えて石徹白という集落を経由し、

北濃・美濃白鳥へと抜ける予定でした。

同ルートは約24km。既存の道路を歩くと約29km、6~7時間かかります。

実際に歩いたことがありますが、途中にとんでもない峠があって、

鉄道を敷くと出雲坂根駅顔負けのスイッチバック等を介することに

なっていたかもしれません。

石徹白を経由せず国道158号線経由で美濃白鳥へ国鉄バス由来の

バス路線がありましたが、2002年に廃止となっています。

福井県側の九頭竜湖駅~前坂(家族旅行村)、岐阜県側の石徹白~北濃駅でバスを

利用して間を徒歩とすると8kmほどになりますが、前者は今年4月より路線廃止、

完全なデマンド運行(乗合タクシーに近い形)となっているので注意が必要です。

 

 

九頭竜湖 14時32分 → 福井 16時03分 越美北線 福井行き

 

少し減ったくらいでほぼ同じ面子を乗せて出発。

途中の小駅で少しずつ乗客を拾っていきます。

半数以上が青春18きっぷ利用者に見えましたが、

やはり越前大野で日常利用と思われるまとまった乗車がありほっとしました。

年代的には車を持たない学生と高齢者が中心で、ローカル線あるある。

また、一乗谷からは観光客の利用もあるようでした。

一両編成の列車は満員の乗客を乗せて福井駅に到着しました。

北陸本線が三セク移管されたあとも越美北線はJRにより運行が継続されています。

 

沿線も越美北線の活性化に消極的なわけではなく、

沿線観光情報の取得やスタンプラリーが楽しめるAR案内アプリが

観光利用促進協議会によってリリースされていたり、

定期利用者が福井~越前大野で並行する京福バスの路線に割引乗車できたりと

策は少しずつ打たれているようです。

ただ赤字を出しながら運行され続けるだけではなく、

事業者と自治体が協力して対抗策を打ちながら、

さらなる活性化がされていくことを願うばかりです。

 

 

 

えちぜん鉄道三国芦原線

福井駅からは、再びえちぜん鉄道に乗車します。

もう一つの路線、三国芦原線へ。

 

 

えちぜん鉄道三国芦原線は、書類上は福井口駅を起点に勝山永平寺線から分岐し

あわら湯のまち駅を経て三国港駅まで25.2kmを結ぶ路線。

列車は福井駅発着で運行されているほか、

田原町駅から福井鉄道の列車が鷲塚針原駅まで相互直通運転しています。

日中は福井~三国港の列車が毎時2本運転。

鷲塚針原までの福井鉄道直通列車が毎時1本の運転となっています。

 

 

列車は平野部を走行。あわら湯のまち駅付近までは、

北陸本線(ハピラインふくい線)の2kmほど西を並行します。

やはり駅の間隔が圧倒的に短く、平均しても1kmごとには駅があります。

 

 

JR北陸本線芦原温泉駅北陸新幹線の駅も開業しましたが、

芦原温泉の温泉街へは、当路線のあわら湯のまち駅が圧倒的に近く、

芦原温泉駅からはバス等での連絡となります。

 

 

福井駅から約50分で終着の三国港駅に到着です。

東尋坊が近く、一駅手前の三国駅よりバスが出ていて連絡可能です。

(当駅の駅前も経由)

 

奥に見える跨線橋眼鏡橋と呼ばれている古いもの。

 

末端の三国~三国港の一駅間は、かつて存在した国鉄三国線の線路を

譲り受けたもの。

えちぜん鉄道の前身、京福電気鉄道東尋坊により近いところまで路線を有して

いましたが、戦中のゴタゴタで路線休止、同じく休止となっていた

国鉄の線路と付け替え、現在に至るそうです。

 

 

ここでようやく車両を紹介&ウォッチング。

車両はMC7000形。JR東海の119系電車を譲り受けて改造した車両です。

入線時に運転台を下げる改造を行っていることから、

塗装もさることながら外観上の面影は少ない…?

 

なるほど側面からみたら国鉄型車両かも。

 

車内。内装はモケットが貼り変わっていること以外はそのままなような。

座席配列も変わらずセミクロスシート(ボックスシート)です。

 

トイレがあった部分は撤去のみされて空間になっています。

 

扇風機にJNRマーク…!

座席番号もそのままで国鉄の香りがムンムンします。

 

導入にあたって改造工事が行われたのは、大阪車両工業および、

我らが阪神車両メンテナンス。尼崎まで来ていたんですね。

 

帰りの列車は終始空いていました。

制御機器はIGBT素子のVVVFインバータ装置に交換されているため、

懐かしい直流モーターの音はしません。

1M1Tなので、停車発車を繰り返すごとに前後衝動が大きかったのが気になりました。

 

三国港から30分、鷲塚針原駅でいったん下車。

せっかくなので福井鉄道への直通列車に乗車します。

 

福井鉄道のF1000形 FUKURAM。 福井鉄道直通の急行、たけふ新行きです。

直通列車の系統は、『フェニックス田原町ライン』と呼ばれています。

 

直通列車は路面電車サイズのため、専用の低床ホームに停車します。

直通運転開始に際し、えち鉄の該当区間各駅には低床ホームが増設されました。

 

えち鉄線内唯一の通過駅、中角駅を通過。

川を渡る直前にある駅でホーム延伸ができず、低床車両が止められないことから

やむなく通過とされていて、普通列車でも直通列車は通過となります。

 

新田塚駅。低床車両から見た一般ホームはこんな感じ。

この駅は通常の高さのホームは島式で、線路の反対側(各進行方向左側)に

低床ホームが増設されました。

 

田原町から福井鉄道に入り、福井城址大名町電停で下車。

最後に福井駅までのヒゲ線に乗車するためです。

右側に入線してきたのは福井駅からのたけふ新行き普通列車

 

当停留所で向きを変えるスイッチバックを行います。

 

渡り線を渡って、急行のあとを追いかけていきました。

 

電停に電光掲示板がありますが、運用上ホームが一定しないため、

反対ホームからの列車であれば教えてくれる親切スタイル。

 

ほどなく、福井駅経由の田原町行きが入線してきました。

一度、当電停に停車後、バックして福井駅へ向かいます。

 

乗車しました。乗客はかなり少なめ。

スイッチバックを行い、ゆっくりとヒゲ線を進みます。

距離にして600mなのですぐに到着です。

 

福井駅電停に到着。

数分でまた折り返して田原町へ向かっていきます。

 

福井駅という電停。

デルタ線にでもしてしまえば手間も所要時間も減るのにと思うのですが、

実際のところどうなんでしょうか。

 

数年前に延伸して、電停の位置は非常に便利になったそうです。

 

福井の二私鉄をめぐる旅でした。

二社の連携がよく取れていて、相互の利用が考えられていて、

施設を上手く使って運行している印象。

一方、福井鉄道の乗客減少と乗務員不足によりダイヤ改正が行われて

現在は日中の急行の運転が取りやめられ、直通列車も普通列車になったことから

福井駅を経由するようになったため、直通運行のメリットが大幅に減少している

ようで、今後はバスも含めた交通一体化の施策が必要であると感じました。

 

 

 

福井駅。まだまだ新幹線側は工事中でした。

往時の発車案内表示。

青春18きっぷなので普通列車で帰ります。

 

敦賀行き普通列車

敦賀米原→大阪と乗り継いで帰りました。

ここで見られた青帯の521系も後に貴重になるのかな。

 

当時の地元トピック。

2022年12月のダイヤ改正爆誕した阪急の種別準特急

京王でなくなったと思ったら阪急にできるとは。

京都線で開始予定の有料座席指定サービスへの準備で

それまでの快速急行に特急ブランドを付けるための名称変更。

神戸線で見られるのは主に深夜帯であること、車両が運良かったので記録しました。

快速急行』の方が好きだったんだけどね。

 

 

次回からは今春の旅行記をお送りする予定です。

お楽しみに。