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各駅停車の行先は… 鉄道旅行記中心のブログです。

この春、変化を遂げた北陸の鉄路。

2024年3月16日(土)、

北陸新幹線が石川県の金沢駅より福井県敦賀駅まで延伸開業しました。

同時に、並行する同区間の在来線、JR北陸本線が地元三セクに経営移管となり、

福井県・石川県を走る鉄道が大きな転換点を迎えることとなりました。

 

2月中旬に訪れることができましたので、JR線としての最後の姿をお届けすると共に、

区間に訪れた変化(3月16日ダイヤ改正の内容)について解説を加えます。

(うろちょろしていたので、旅行記の形式はとりません。)

 

 

北陸新幹線について。

北陸新幹線が金沢~敦賀まで延伸開業しました!

途中には小松、加賀温泉芦原温泉、福井、越前たけふ駅が設けられ、

越前たけふ駅のみが新幹線単独の新設駅となっています。

 

敦賀~金沢は最速で41分程度、停車タイプでも57分程度となり、

従来の在来線特急列車に比べて20分~30分程度の所要時間短縮となります。

乗り換え要らずとなる関東方面からの所要時間短縮効果が大きいです。

 

敦賀駅では大阪方面からの特急『サンダーバード』、名古屋・米原方面からの

特急『しらさぎ』と乗り換えとなり、各特急列車は新幹線のりば直下に

新設される特急列車専用ホームからの発着となります。

特急『サンダーバード』との乗り継ぎ時間は10分前後、最短8分での接続と

なっています。

 

運行される列車種別は、

対東京方面の最速列車『かがやき』

対東京方面の停車タイプはくたか

従来の特急列車を受け継ぐ金沢・富山止まりの『つるぎ』

の三本立てとなっていて、

敦賀駅での乗り換えは『つるぎ』との接続がよく考慮されています。

 

長野・東京方面への『はくたか』は日中を中心に、

『かがやき』は朝夕を中心に毎時1本程度運行され、

『つるぎ』は終日に渡り運行。速達タイプと停車タイプの両方が運行されます。

全てが対東京に向けた列車でないところが北陸新幹線の特殊なところです。

 

これは新高岡駅の発車標。

『つるぎ』は、これまで富山~金沢のシャトル列車として運行されてきました。

同じE7・W7系12両編成を使用していたものの、8~10号車と12号車のグランクラス

を締切扱いで運転されていました。

敦賀開業より晴れて12両全車営業となり、グランクラスも設定されます。

敦賀で在来線特急に接続しない早朝深夜の列車については地元利用に考慮してか

自由席の設定を拡大しての運行となります。

 

 

在来線特急について。

大阪駅にあった案内。

 

北陸新幹線が開業し、JR北陸本線第三セクターへと経営移管されるのに伴い、

敦賀~金沢間を走行していた在来線特急列車は全廃となりました。

特急『サンダーバード』は大阪~敦賀間、

特急『しらさぎ』は名古屋・米原敦賀間へ運行区間が短縮されるほか、

自由席車両の設定が廃止され、全車指定席での運行となります。

 

敦賀~金沢が新幹線となり、同区間の特急料金は当然値上げとなってしまいます。

JRの乗継割引という料金制度も同日に廃止となってしまう中、

激変緩和措置としてか、敦賀駅で新幹線と特急を乗り継ぐ際の割安料金』

特例として設定されます。

他にもJR西日本のネット予約『e5489』やJR東海の『EX予約』でお得な割引商品が

設定となっていますので活用しましょう。

 

米原発の最終特急だった『しらさぎ65号』。

北陸へ乗り込む際、事情があって最終の『サンダーバード』を逃してしまい

東海道新幹線から米原で乗り継いで乗車することになりました。

 

最終特急『しらさぎ65号』の金沢到着は深夜0時40分。

フル規格の新幹線は通常、深夜0時以降に営業走行できないことになっているため、

遠距離からの終電は早くなってしまいます。

同様に始発列車についても新幹線は朝6時からという制約があります。

 

この関係で、敦賀止まりとなったあとの特急『しらさぎ』については

深夜の下り65号と早朝の上り52号に相当する列車が廃止となります。

ダイヤ改正以降、新幹線とは接続しませんが、ほぼ同時刻に

臨時の快速列車米原敦賀にて223系4両編成で運行されています。

これも激変緩和措置と思われますが、臨時列車となっている以上

利用動向次第で廃止としてしまう算段なのかもしれません。

 

図らずも自由席の特急『しらさぎ乗継割引適用の特急券での乗り納めとなりました。

『乗継割引』は、対象の駅で新幹線と在来線特急列車を乗り継ぐ際に

同時購入で在来線特急列車の特急券が半額となる制度でした。

2023年3月31日を以て山陽新幹線岡山駅新下関駅での適用が終了するなど

縮小がありましたが、2024年3月15日を以て全面廃止となりました。

先述した通り、敦賀駅での北陸新幹線との乗り継ぎについてのみ

似た制度が残されることになります。

 

廃止される特急は『サンダーバード』『しらさぎ』だけではありません。

それらを補完する形で運行されていた、

特急『ダイナスター』『おはようエクスプレス』『おやすみエクスプレス』も

廃止となります。

 

特急『ダイナスター』は福井~金沢を結んだ特急列車。

2015年の北陸新幹線金沢開業時に誕生し、早朝に金沢行き、

深夜に福井行きが2本ずつ運行されていました。

 

また、特急『おはようエクスプレス』は平日早朝に敦賀発金沢行き、

特急『おやすみエクスプレス』は平日深夜に金沢発敦賀行きが1本ずつ運行されていました。

 

金沢駅に681・683系がたくさんいる光景も見納め。

発着するのは七尾線の特急列車のみとなります。

 

その七尾線ですが、1日1往復が直通していた『サンダーバード』が廃止に。

大阪から和倉温泉へは敦賀・金沢で乗り換えが必要となります。

 

サンダーバード』の代替の列車と、多客期に1往復の増発が行われて

特急『能登かがり火』、観光特急『花嫁のれん』合わせて8往復の陣容に。

運行時間帯の調整が行われて利用しやすいダイヤとなります。

 

他の速達列車については次項で述べます。

 

 

在来線一般列車について。

JR北陸本線のうち、

金沢~大聖寺第三セクターIRいしかわ鉄道に、

大聖寺~福井~敦賀第三セクター『ハピラインふくい』に経営移管されます。

大聖寺駅での折り返し運転はほぼ行われず、相互に直通運転が行われます。

 

境界駅となる大聖寺駅

 

列車の運行体系はほぼ従来通りとなり、

日中は敦賀~福井、福井~金沢、金沢~富山方面で系統が分かれます。

福井駅金沢駅ともに列車どうしの接続が改善されます。

 

特急列車の運行がなくなることにより、列車の速達化が行われ、

日中の福井~金沢の列車は10分程度所要時間が短縮します。

 

IRいしかわ鉄道では朝夕に列車の増発が行われる他、

金沢駅のホーム制約が少なくなることから富山方面への列車と

同一ホームでの乗り換え可能な列車が増えます。

 

雑な写真ですいません。

加賀笠間~松任間に新駅、西松任駅が開業しました。

 

攻めの姿勢であるのは新たな福井県三セクのハピライン福井

日中に福井~武生間の列車を毎時1本ずつ増発し、同区間は毎時2本に。

また、朝夕の通勤時間帯に各時間帯2往復ずつ、計4往復の

敦賀~福井間に快速列車を設定。(途中停車駅:今庄または南条、武生、鯖江)

同時間帯の在来線速達需要を担います。

 

さらに敦賀駅23時22分発、福井行き最終快速列車を1本設定。

同列車は廃止となった特急『しらさぎ』65号の代替で、

敦賀駅米原敦賀行き臨時快速列車と接続を行い、

区間の最終連絡を担います。

 

他にも通勤時間帯中心にテコ入れが行われて、ハピラインふくいでは

上下合わせて29本の列車が増発されます。今後に期待です。

 

 

フリーきっぷについて

 

JR線でなくなることから取り扱いが注目されていた青春18きっぷ

離れ小島となる路線ができるため、特例乗車区間が設定されました。

 

越美北線に乗車するため、ハピラインふくいについて、

敦賀越前花堂間が乗車可能に。

福井駅へ抜ける場合は越前花堂~福井間の運賃が別途必要です。

 

また、七尾線に乗車するため、あいの風とやま鉄道とIRいしかわ鉄道

富山~高岡~津幡間が乗車可能に。

これまで乗車できていた津幡~金沢間は乗車できなくなりましたので注意。

 

 

また、『北陸おでかけtabiwaパス』は継続発売。(1日 2900円)

北陸本線区間新潟県直江津まで乗車可能。その他周辺の路線も

利用可能となっていて、お得なチケットです。

 

さらに、ハピラインふくい・IRいしかわ鉄道・あいの風とやま鉄道の

三社共同のフリー乗車券『北陸3県2Dayパス』が2800円で発売中です。

こちらは2日間有効。

お得な乗車券で北陸地区を巡りましょう。

 

特急列車の記憶

 

ここからはJR北陸本線 敦賀~金沢間の最後の姿を。

 

 

2月某日の敦賀駅

新幹線開業に合わせ駅舎がリニューアルされています。

新幹線は奥にそびえ立つ高架ホームに発着。

新たに新幹線側にも改札口ができます。

 

各主要駅にはこうしたモニュメントがありました。

 

跨線橋へのエスカレーターでは新規開業区間のPRがされていました。

 

在来線ホームの特急列車の案内。

特急列車は新幹線ホーム直下の専用ホームからの発着となりました。

 

この時点では新幹線駅舎に立ち入ることはできませんでした。

 

地平ホームを発着する特急列車は見納めに。

 

 

続いて福井駅

特急街道を表していた発車標。

 

福井駅を出発する681系特急『サンダーバード』金沢行き。

 

特急『しらさぎ』に使用される681系はもう限界のようでした。

 

 

普通列車に乗っていて、途中駅での特急待避も見納めに。

 

 

駅を通過していく特急列車シリーズ。

粟津駅を通過する特急『しらさぎ』。

 

松任駅を通過する特急『サンダーバード』。堂々の12両編成!

 

加賀温泉駅を通過する特急『サンダーバード』。

 

 

 

ここは小松駅

時刻表を見ても普通列車より特急列車が多い…

 

ここ小松にも新幹線駅ができました。

 

北陸本線の特急停車駅には頭上に乗車位置を示す看板があったのが印象的。

吊り下げ札式であったり、ここみたいに看板を貼るための梁が渡してあったりしました。

 

編成両数によって札の色が異なり、次の列車の編成がランプで知らされていました。

 

コンコースの発車標は液晶式となっていました。

 

特急『サンダーバード』と普通列車

 

 

 

そして金沢駅

 

 

大阪から到着した特急『サンダーバード』。

 

時刻表。

これだけたくさんの特急列車が、全て廃止となりました。

 

特急列車の編成・乗車口案内。

 

金沢駅の乗車口案内は電照式となっていました。

 

金沢駅で見る大阪行き『サンダーバード』。

自由席も列車から廃止となりました。

 

 

帰りはもちろん『サンダーバード』。

またいずれ、北陸には訪れようと思っています。

 

 

 

 

最後に、最終日の金沢行き最終『サンダーバード』を見送りに大阪駅へ。

 

特急『サンダーバード』は大阪駅の11番のりばから発車します。

最終の49号は20時54分発です。

 

 

ホームは多くの鉄道ファンで賑わっていました。

 

 

列車本数・停車駅も充実していた『サンダーバード』。

ダイヤ改正後は新幹線連絡特急に性格を変えることになります。

 

最終の49号は湖西線堅田に停車しながら、北陸線内は敦賀・福井のみ停車の

速達タイプでした。

LED式の電光掲示板には北陸新幹線開業のPRも流れていました。

 

金沢行き・自由席の表示はこれで最後。

 

少し遅れて入線したため、停車時間は2分ほどしかありませんでした。

自由席には多くの乗客が列をなしていました。

写真は乗車する人が概ね引いたあとですが、多くの人がお見送り。

 

特急『サンダーバード』、最後の金沢行き。

 

特別なアナウンスはなく、淡々としてほぼ定刻で出発していきました。

いつもと違ったのは出発時に長い長い警笛を鳴らしていたことと、

ホーム上の撮影者警戒で最徐行で出発していったことくらいでしょうか。

 

 

これで大阪から北陸地方(敦賀以遠)へ直通する列車の運行は終了。

特急『サンダーバード』は敦賀行きとして運行されています。

 

 

 

北陸地方は自分で鉄道旅行をするのに最初に行き先に選んだ思い入れのある地。

当時は419系食パン電車や急行型車両が闊歩していた特殊な地方でした。

あれから十数年、再び大きな転換点を迎えた北陸地方

また新幹線や三セクで足を運んでみたいと思いました。