Local bound for…

各駅停車の行先は… 鉄道旅行記中心のブログです。

豊肥本線・南阿蘇鉄道の旅【九州北部乗り鉄②】

朝の大分駅よりおはようございます。

大分駅南口は、県都の駅とはいい意味で思えないすっきり感。

 

この日は、JR豊肥本線に乗って熊本方面へと抜けます。

熊本地震で被災し、今年7月に復旧を果たした

南阿蘇鉄道にも乗車します。

 

 

 

2023年9月24日(日)

 

JR豊肥本線

 

大分 9時13分→ 三重町 10時00分  豊肥本線 普通 三重町行き

最初に乗るのはキハ125形の普通列車

2両編成です。

 

車内はボックスシート中心。

なぜかこの車両に乗るとみんなカーテンを閉めがち。

暗い色の内装も相まって車内がより暗く感じることがあります。

 

 

JR豊肥本線は、大分駅から阿蘇カルデラを貫いて熊本駅まで

148kmを結ぶ地方交通線

2016年の熊本地震で大きな被害を受け一部区間が運転見合わせとなっていました。

2020年8月に阿蘇肥後大津間が復旧し、全線で運転を再開しています。

阿蘇という一大観光地を抱えることから特急列車は観光向けのものを中心に

運行され、熊本~別府にD&S列車『あそぼ~い!』が1往復、

区間に『九州横断特急』が2往復 (1往復は『あそぼ~い』運休時に運転)、

熊本~宮地にD&S列車『かわせみやませみ』が1往復、

区間に『あそ』が1往復運転されています。

今回は普通列車のみで熊本へ向かいます。

 

 

約18分で中判田駅

ここまで毎時1~2本が運転され、半数程度の列車が折り返す駅です。


三重町までの区間は大分近郊の比較的利用が多い区間です。

大学等の最寄り駅もあります。

人の住む区間は続きますが、早速列車は勾配を登り標高をじわじわ上げていきます。

 

 

三重町に到着。大分市のとなり、豊後大野市の中心駅です。

サイコロの旅で熊本方面からやってきた『水曜どうでしょう』面々が

特急『あそ』を乗り捨ててタクシーで佐伯の港へ向かったことで有名な駅。

折り返し列車の設定がある駅ではありますが、乗り継ぎとなるダイヤは

そんなにありません。

 

 

三重町 10時15分→ 宮地 11時33分  普通 宮地行き

こんどは同じキハ125の単行列車です。

乗車率は各ボックス席に1人ずつといった状況。

 

約30分で豊後竹田に到着。城下町・温泉が有名で滝廉太郎ゆかりの地でもあります。

 

ここから先、宮地までは山間部を通る区間となり、利用が少ないのか

普通列車は5往復のみと非常に少ない設定となっています。

 

豊後竹田でほとんどの乗客が降りてしまいました。

乗客数人となった列車は峠道を登っていきます。

 

豊後荻駅で観光特急『あそぼーい!』とすれ違います。

次の滝水駅から熊本県に入ります。

 

 

波野駅。標高754mで、九州で一番標高の高い駅です。

この先の坂ノ上トンネルで阿蘇の外輪山を越え、カルデラ内に入って行きます。

 

トンネルを抜けると、カルデラ内に広がる阿蘇市の街が見渡せます。

山を伝って平地へ降りていき、宮地に着きます。

 

 

宮地駅に到着。

この先の接続は良くなく、1時間以上待ち時間があります。

 

かつて、豊肥本線を走っていた『SLあそBOY』に使用された

ハチロクこと58654号機についての展示がありました。

ハチロクは現在は鹿児島本線で運行される『SL人吉』の牽引機として現役ですが、

2024年3月での運行終了が発表されています。

 

駅構内には、豊肥本線熊本地震からの復興について展示があったのですが、

この時間は入ることができませんでした。

 

 

待ち時間を利用して阿蘇神社までやってきました。

宮地駅から徒歩15分ほど。

阿蘇神社も熊本地震で大きな被害を受けて、再建工事中です。

 

阿蘇神社近くの出店街、老舗の肉屋さんで買った鳥メンチカツ。

野菜も入っていてヘルシーです。

 

宮地駅に戻ってきました。

阿蘇神社にちなみ社風の駅舎となっています。

 

宮地 12時46分 → 立野 13時23分  普通 肥後大津行き

ここからはキハ200形の普通列車に乗車します。

ここから先、普通列車は1~2時間に1本の運転となります。

 

ホームには観光特急『かわせみやませみ』が停車していました。

当初、肥薩線向けに作られた観光列車ですが、肥薩線の被災による運休を機に

活躍の場所を豊肥本線に移しています。

 

 

車窓左側には、阿蘇カルデラの中心にそびえ立つ阿蘇中岳が見えます。

 

世界最大級の阿蘇カルデラ

想像を絶する規模の火山活動が起こり、その後の陥没によってできた地形で、

平地の周りに崖のように急峻な山がそびえ立つ光景は、

通常の盆地とは異なり、ここでしかなかなか見られない特別な地形です。

 

阿蘇の町を抜け、再び列車は阿蘇外輪山の外へ抜けようとします。

車窓左には2016年熊本地震で崩落した旧阿蘇大橋を見ることができます。

そのままになっているのがなんとも生々しいです。

周囲の国道と共に豊肥本線の線路も地震の被害にあい、長期間運休となっていました。

 

こちらは2021年3月に完成した新阿蘇大橋。

橋脚の長さからもこの辺りの地形のヤバさが垣間見えます。

 

車窓左側前方に見える、阿蘇外輪山の切れ目。

この下の方向に列車は向かっていきますが、この高低差を克服するため

立野駅に着くまでに列車はスイッチバックを行います。

手前の赤水駅の標高は467mなのに対し、立野駅の標高は277mで、

わずか8kmの間に190mを下ります。

 

いったん列車は行き止まり線へ。

方向を切り替え、バックして列車は立野駅へ。

 

肥後大津方面の線路と合流。

このバックして進む区間も500mほどあり、大きなスイッチバックです。

 

立野駅に到着。

 

上下列車が交換を行います。

 

ここで南阿蘇鉄道に乗り換えます。

阿蘇カルデラの北側、阿蘇谷を走行するJR豊肥本線に対し、

白川に沿った南郷谷の部分を走行するのが南阿蘇鉄道です。

 

立野駅には新しい駅舎が建てられました。

2階部分が出口で、1階部分のホームから発車するのが南阿蘇鉄道です。

 

 

南阿蘇鉄道高森線

 

『おかえり南阿蘇鉄道』。

 

南阿蘇鉄道高森線は、立野駅から高森駅まで17.7kmを結ぶ第三セクター線。

国鉄高森線を譲り受けて1986年に開業しました。

国鉄時代には高森から先、宮崎県高千穂まで延伸し、高千穂線と結ぶ計画が

ありましたが、トンネル工事で異常出水が発生するなどしたため断念しています。

2016年4月の熊本地震で橋梁・トンネル等に甚大な被害を受けたため

立野~中松間が長期運休となっていました。

今年、2023年7月15日に7年3ヶ月ぶりに全線で運転を再開しました。

 

 

立野 13時41分 → 高森 14時15分  南阿蘇鉄道 普通 高森行き

車両は全線運転再開へ向けて投入された新型車両MT-4000形

朝の2往復がJR豊肥本線肥後大津まで乗り入れを開始し、それに対応しています。

 

車内はロングシート

壁は木目調の落ち着いた車内となっています。

従来の車両と比べて大型化も達成しています。

 

 

定刻で立野駅を出発。

2両編成で車掌も乗務。

この若い車掌さん、めちゃめちゃ面白かったです。

とにかくずっと喋る。ノンストップ。

沿線の観光案内から、駅名の由来、地域の紹介、細かい小ネタ等々…

それだけしゃべるネタがある南阿蘇鉄道もすごいなと思いました。

全線運転再開への嬉しさ・喜ばしさがひしひしと伝わってきました。

 

 

 

立野駅を出てすぐ、右手に見える巨大なダムは立野ダム。

ダム本体が2022年に完成し、現在も関連工事が進められています。

 

そして早くも南阿蘇鉄道の景観のハイライト。

「みなさんカメラの準備はいいですか?」と車掌さん。

車掌さん曰く「運転手のサービス」での最徐行で第一白川橋梁に差し掛かります。

 

写真が上手く撮れなかったので、こんな橋。

熊本地震で損傷し、掛け替えが行われた橋です。

全長152m、下を流れる白川まで60mの高さがあります。

さすがに橋梁に差し掛かると車内から歓声があがっていました。

 

上を走る道路もえらい所を走っとる。

 

白川は谷底を流れるため見えません。

その上に広がる台地を走行。田園風景が広がります。

 

南阿蘇水の生まれる里白水高原駅

開業以来、一時期を除いて2015年3月までは日本一長い駅名でした。

 

 

車窓が絵みたい。天気も良くてよかったです。

 

 

このあと中松駅からアジア系の外国人観光客が多数乗車し座席が埋まりました。

出身地を聞くなり韓国語でも案内を始める車掌さん。

あんたいったい何者や…

 

 

以前は温泉があり、地震の影響で湯が出なくなり営業休止中の阿蘇下田城駅、

午後の紅茶CMに起用され、駅設置の自販機が午後の紅茶にジャックされている

見晴台駅など、個性的な駅が数多くありました。

 

 

約30分で終点の高森に到着。

ホームにはこれまでを上回る人だかりができていました。

いったい何かと思えば…

 

これ。(立野駅で撮影)

作者が熊本県出身である人気漫画『ONE PIECE』とのコラボで、

主人公たちが乗る海賊船 サニー号を模した車両が走っているとのこと。

ONE PIECE』の力、すげぇな…。

 

終着の高森駅は有人駅で、物販もある窓口併設。

今年建て替えられた立派な駅舎を持ちます。

 

車庫のある高森駅

時間の都合で来た列車で折り返すのですが、乗ってきた列車は車庫へ引き上げ。

 

高森 14時32分 → 立野 15時03分  普通 立野行き

件のサニー号とこの車両をつないだ2両編成が出てきました。

車内は超満員。

このMTー3000形、流線型の車体で観光向けな感じがしますが

車内は意外にもロングシートで詰め込みはきいてました。

貫通路はないため前に連結する車両と行き来はできません。

 

この列車にも同じ車掌さんが乗務。

時にはギャグを、時には個人情報を挟み込み、爆笑をかっさらっていました。

この日はお母様のお誕生日だったらしいです。おめでとうございます笑

 

 

南阿蘇鉄道、時間作ってまた来たいと思わせてくれる素敵な鉄道でした。

 

 

立野駅に戻ってくるとこの混雑。

すげぇよ、南阿蘇鉄道

 

サニー号は折り返し列車として出発して行きました。

 

 

立野駅

駅前には観光バスが数台。

なるほど、全線運転再開直後ということもあって

南阿蘇鉄道は上手く団体旅行ツアーに組み込まれているようです。

 

先ほどの普通列車を追いかけるように出発するのは

観光トロッコ列車『ゆうすげ号』。

各駅に止まりますが全席予約制で、乗車を考えていましたが満席でしたので

今回は乗ることができませんでした。

 

JRの列車まで時間があったのでお見送り。

たくさんの乗客たちを乗せて行ってらっしゃい!!

 

 

 

 

 

…となるはずでしたが、先行する普通列車(サニー号)が車両故障を起こして

立ち往生しているとの一報が入り、出発見合わせに。

そのあとどうなったのか見ることはできませんでした。

 

 

 

立野 15時51分 → 肥後大津 16時03分 JR豊肥本線 普通 肥後大津行き

引き続き、豊肥本線で進みます。

 

さらに下り坂で標高を下げていき、12分で肥後大津へ。

 

肥後大津駅菊池郡大津町の中心駅。

阿蘇くまもと空港駅の愛称があり、空港へは無料のバスで連絡できます。

阿蘇くまもと空港へはアクセス鉄道の建設計画があり、動きだそうとしている所。

架線が見えるように、これより熊本方面は交流電化されています。

 

 

肥後大津 16時22分 → 熊本 17時01分  豊肥本線 普通 熊本行き

817系電車2両編成のワンマン列車。

列車本数もぐぐっと増え、普通列車だけでも毎時2本程度が運行されます。

 

熊本市近郊区間となり、駅の設置密度も高くさながら私鉄のよう。

かつては電車特急『有明』の多くが豊肥本線に乗り入れていました。

それだけ利用の多い区間となります。

 

駅ごとに乗客を拾い、満員で熊本駅に到着しました。

熊本からはさらにもう一つ、路線に乗車します。

 

 

三角線

熊本 17時16分 → 住吉 17時42分  三角線 普通 三角行き

今回の旅で乗りつぶすJR線としては最後。三角線に乗車します。

キハ220形の2両編成。

 

キハ200系列の中で後期製造にあたる車両。

JR四国の車両みたいなロング・クロスシートの交互配置となっています。

 

 

三角線鹿児島本線宇土駅から分岐し、有明海沿いに走行して三角駅まで

25.6kmを結ぶ地方交通線。『あまくさみすみ線』の愛称が付いています。

毎時1本程度の普通列車が運転され、全列車が熊本駅へ直通します。

三角線は非電化のため気動車での運行。

土休日にはD&S列車である特急『A列車で行こう』が3往復運転されます。

 

 

日が落ちてきました。

三角線沿線で日没までにどうしても行きたい所があるので向かいます。

 

住吉駅で下車。線路沿いを20分ほど歩きます。

 

丁度、日没前のゴールデンタイムを過ぎようという所。

間に合ってくれ…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

間に合いました。

 

長部田海床路。

昔、二階堂酒造のCMで見たのを痛烈に覚えていて、

いつか来てみたかったんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

漁業関係者のための道で、引き潮時にはしっかり道が出現するそう。

潮の具合も引き過ぎとも満ち過ぎともない絶妙な感じ。

海の向こうへ電柱が続いていく光景はなんとも不思議。

 

 

さすがに近年はSNS上で話題になっているのか、

現地に到着すると若い男女でいっぱい。

土産店やカフェまで出来ていて、しっかり観光地化されている印象でした。

 

 

 

 

20分の滞在で、また20分ほどかけて歩いて駅へ戻りました。

ちょうど日没。

 

 

住吉 18時52分 → 三角 19時18分  三角線 普通 三角行き

こんどの列車はキハ47形。

国鉄型キハで闇夜の三角線を終点まで。

 

 

終点の三角駅

天草方面への玄関口です。

 

さすがに観光特急の始発・終着駅であるだけあって内装は手直しされています。

 

特急『A列車で行こう』はクルーズ船と接続しています。

今度は『A列車で行こう』でお酒でも飲みながら三角に来たいものです。

(お酒のめない)

 

 

三角 19時27分 → 熊本 20時19分 三角線 普通 熊本行き

 

折り返しの熊本行きで熊本へ戻ります。

 

 

濃い二日目はこれで終わり。

市電で水前寺へ出て投宿しました。

 

 

三日目は福岡方面へ。

残っている私鉄・地下鉄を乗りつぶします。

お楽しみに。