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各駅停車の行先は… 鉄道旅行記中心のブログです。

宗谷本線の普通列車乗車記(後編)。【いざ鉄路で最北へ⑤】

北海道の稚内に向かう旅行記、旅の2日目。

旭川から乗車したのは、6時03分発の稚内行き普通列車

旭川から3時間で音威子府(おといねっぷ)までやってきました。

乗車記の後半戦は、音威子府から先をお送りします。

沿線の風景はいよいよ最果ての鉄路らしくなってきます。

 

 

2023年9月3日(日)

 

旭川から3時間。

9時05分、定刻通りに音威子府駅に到着しました。

3分間停車するため、駆け足ながら乗客たちも列車を降りて思い思いに

気分転換したり写真を撮ったりします。

 

音威子府からは、オホーツク海側の浜頓別を経由しながら北上して南稚内に至る

天北線が分岐していましたが、1989年に廃止されています。

 

音威子府駅の構内が広いのも天北線の名残かもしれません。

駅舎の中には天北線の資料館がある他、黒い蕎麦で有名な音威子府そばのお店が

ありましたが、2021年に閉店しています。

3分間ではそれらは見られず、すぐに列車に戻ります。

 

音威子府から幌延までの区間が宗谷本線で最も人気(ひとけ)のない区間となっています。

普通列車はわずか3往復。

駅も6~8kmおきに集落のあるところだけに作られています。

列車は天塩川右岸を川に沿って蛇行しながらゆっくり走ります。

 

音威子府村から中川町に入った佐久駅。

手前の筬島駅との間は宗谷本線最長の18kmの駅間があります。

 

木造駅舎がすてきな天塩中川駅。

中川町の中心駅で、特急停車駅です。

 

次の問寒別までの間には廃駅が2つあります。

ここはおそらく歌内駅跡。

ホームや貨車駅舎は撤去されています。

 

沿線に見えるのは原っぱか牧場か、といったところ。

 

問寒別駅。

集落が形成されている駅は、駅からまっすぐ伸びるメインストリートが必ずあるのが

開拓地である北海道らしいですね。

 

『駅舎が物置』でおなじみ、名のある秘境駅、糠南(ぬかなん)。

原野の中にポツンとある仮乗降場由来のこの駅は、

地元の幌延町が費用を負担して維持し、廃止を免れています。

この日も駅めぐりガチ勢らしき人が降りていきました。

 

一段と川幅が増してきた天塩川

ここまで宗谷本線にくっついたり離れたりしてきた天塩川ですが、

川に沿って線路が走るのは次の雄信内駅手前まで。

川はだんだんと西へ離れ、日本海へと注ぎます。

 

 

立派な木造駅舎が残る雄信内駅。

駅前はゴーストタウンとなっていますが、雄信内の集落は

少し離れて天塩川の対岸、天塩町側に存在します。

 

両隣の駅が廃止されており、駅名標の次駅を表示する部分が更新されています。

廃駅の割合が多い宗谷本線の音威子府幌延間です。

 

旭川から4時間30分。 10時33分、幌延に到着。

幌延町の中心駅で、特急停車駅です。

なぜ駅の外にいるのかというと、

この駅で時間調整のため23分間停車するからなんですね。

列車番号もこの駅から2回目の変更となります。

 

幌延駅前。

久しぶりに町という感じがします。

幌延で降りた人ももちろんいたようですが、稚内行き普通列車の乗客たちも

ほとんどが車両・駅の外へ出て気分転換をしていました。

 

幌延駅の時刻表。

この駅から上下方向とも特急列車3本・普通列車3本の内訳。

幌延稚内間は幌延折り返しの上り普通列車が1本あり、4本となっています。

稚内方面普通列車はこの列車が2本目で、約8時間後にもう1本を残すのみ。

 

幌延駅は2面3線のホーム配置。ホーム間は稚内方の跨線橋で連絡します。

かつて、日本海側を留萌まで結んだ羽幌線の分岐駅でしたが、

1987年に廃止されています。

 

稚内行き普通列車 キハ54の車内。

みんな外に出て行ってしまっています。

お昼に近づいて気温が上がってきていて、この車両は非冷房のため

窓が所々開けられています。

 

10時56分に幌延駅を出発。

稚内までは、あと60km。1時間ちょっとです。

 

11時13分、豊富に到着。

稚内市までの最後の町、豊富町の中心駅で、特急停車駅です。

 

名寄行きの普通列車と行き違いを行います。

幌延駅の長時間停車はこのためだったようです。

 

同時に発車します。

稚内まで、いよいよラストスパートです。

 

車窓左側が開けてきます。

このあたりからサロベツ原野が広がり、利尻島にそびえる利尻富士が見えてきました。

 

原野の中をまっすぐ線路がのびます。

 

時折、線路が不自然なカーブを描くと、そこは駅の跡です。

原野が広がるばかりで住人がいないのか、次の兜沼駅までに

2駅、廃駅が続きます。

 

勇知駅。きれいに手入れされた駅前に小さな集落があります。

いよいよ稚内市に入りました。

 

だんだんと車窓の起伏が富むようになってきます。

 

丘の上に風力発電用の風車が見えるようになってきます。

牛が放牧されているのが確認できます。

 

最北の木造駅舎を持つ駅、抜海。

稚内駅で『北の大地の入場券』を購入するとこの駅がデザインされています。

貴重な駅ですが、存廃に揺れている駅でもあります。

 

稚内まであと2駅。

 

 

林に囲まれた不思議な空間を列車は走ります。

 

 

 

このあと標高を上がると、宗谷本線の車窓のハイライト。

 

 

 

 

高いところに上がった線路からほんの数十秒ですが、日本海が見渡せます。

 

右に大きくカーブして、日本海からは離れます。

 

 

そこから5分ほど走ると、街の中に入っていきます。

 

12時02分、南稚内に到着。 最北の交換設備を持つ有人駅。

稚内駅の配線が簡素化されたため、操車機能はこの駅にあります。

実はこの駅の方が稚内駅付近より栄えていたりします。

 

音威子府で分かれた天北線はこの駅で再び合流していました。

 

 

先ほど左に日本海を見ましたが、車窓右側にも海が見えてきます。

オホーツク海側に出ました。

こういうところが最果ての地っぽいですね。

 

次は稚内。 運賃表は、旭川から5940円を示しています。

 

 

旭川から6時間4分。 12時07分、定刻で稚内駅に到着しました。

 

JR北海道といえば縦書きホーロー看板とサッポロビール

最近、サッポロビールの部分が消された駅がかなりあるようですが、

稚内には残っていました。

 

線路の終端。

稚内駅は1面1線という簡素なつくりをしています。

 

鹿児島県・枕崎から3099km続く線路は、ここまでとなっています。

 

キハ54-506。6時間ありがとうございました。

 

線路は枕崎から続くけれど、指宿枕崎線の線形の関係で最南端の駅は

途中駅の西大山。こういう文句を書くときにどちらをとるか悩むところですね。

 

稚内駅は2011年に改築・移転しているため、

当時の最北端の線路がモニュメント的に駅の外に残してあります。

 

 

 

大阪から鉄路のみで、最北端、稚内駅に到達しました。

寝台特急、新幹線、特急と、いろいろ乗りましたが、

初めて乗る宗谷本線は普通列車を利用したことで

最北端への遠さを実感することができましたね。

 

 

 

 

稚内駅前の『たからや』さんで塩ラーメン。

透き通ったスープで、とても美味しかったです。

 

 

せっかく最北の町に来たので、じっくり観光しようと思います。

次回は稚内観光と帰りの様子を。

お楽しみに。