Local bound for…

各駅停車の行先は… 鉄道旅行記中心のブログです。

中佐世保駅と佐世保中央駅。

駅間距離わずか0.2km

 

長崎県佐世保市を走る松浦鉄道西九州線に、

鉄道線としては日本最短距離タイで並ぶ二つの駅があります。

 

どちらも【佐世保の中心】を名乗る駅の、陰と陽の物語です。

 

 

中佐世保駅

駅データ

【駅名】中佐世保 (なかさせぼ)

【所属】松浦鉄道 西九州線

【所在自治体】長崎県佐世保市

【開業】1961(昭和36)年7月15日

【構造】高架駅、1面1線

【設備】無人

 

中佐世保駅は、松浦鉄道の前身、国鉄松浦線に新設開業。

始発である佐世保駅の隣に開業した、佐世保市街地最寄りの駅でした。

 

『中佐世保』という駅名だけあって近くには学校や商業施設、公共施設もあり

便利な立地。しかし、この写真を見る限り閑散として寂れた感じがします。

 

ホームには沿線の学校製作の壁画が。

おもいやり、おもてなしのまち、佐世保を表しています。

 

一応の待合スペースもあります。

 

振り返ると、運転士向けの次駅接近標識が見えます。

ここからたった200m佐世保寄りに、佐世保中央駅があります。

若干カーブをしているため駅の姿までは確認が出来ません。

 

高架の位置に線路があるためホームへは階段で上がります。

階段の登り口に時刻表と、「駅はあちらですよ~」と控えめな看板が掲げられていました。

 

少し離れて見てこんな感じ。

階段右の建物は駅と全く関係ない建物です。

 

ここから歩いて佐世保中央駅へ向かってみましょう。

 

 

私道のような道から車の通る道に出ました。

中佐世保駅」を示す看板すらありません。

 

ここで両駅の位置関係を確認してみましょう。

両駅の間にあるのは大通りの国道35号線とこの地図ではよくわかりませんが

四ヶ町アーケードという商店街だけです。

 

これが国道35号線。交通量の多い大通りです。

 

そしてすぐその先に商店街。

 

四ヶ町アーケードです。

天窓の所を松浦鉄道の線路が跨いでいます。

 

アーケードにはしっかり「佐世保中央駅」の案内が。

上向いてないとわからないけどね。

 

案内のある小路を入るとめちゃめちゃレトロな建物がありました。

駅はあるの?大丈夫?

 

その先にしっかりと駅は存在しました。

 

佐世保中央駅

駅データ

【駅名】佐世保中央 (させぼちゅうおう)

【所属】松浦鉄道 西九州線

【所在自治体】長崎県佐世保市

【開業】1990(平成2)年3月10日

【構造】高架駅、1面1線

【設備】有人駅 券売機なし エレベーター設置

 

佐世保中央駅は、国鉄→JR松浦線第三セクター松浦鉄道に引き継がれて2年後の

1990年に新設開業しました。

国鉄・JRからの転換三セクでは珍しく、地元バス会社など民間資本が入っている

松浦鉄道。サービス・利便性向上に向けて列車運転本数の増便に加えて

駅の増設に力を入れ、開業から11年で25駅を増設しました

松浦鉄道西九州線の総延長が93.8kmでもともと32駅が57駅へ。

これはすごいことです。

 

 

それでもなぜ、こんなにも至近距離に駅を新設したのでしょう。

 

佐世保中央駅のホーム。右に見える何やら険しいつくりをした通路は

今年2月まで営業していたイオンショッピングセンター、さらには大きな病院へと

続く駅からの連絡通路なのです。

 

振り返って、中佐世保駅から見た景色と同じく、次駅接近の案内が。

左の建物がイオンだったものですが、解体されるのか足場に覆われてしまっています。

 

 

たった200mとはいえ、歩けば5分くらいはかかります。

商店街と商業施設、さらに病院まであれば、駅を作りたくなるのもわからんではないです。

中佐世保駅が出来たときにはイオンはなかったのですから。

(イオン佐世保ショッピングセンターは1974年開業)

利便性向上に懸けた松浦鉄道の意地とも言えるでしょう。

そして、中佐世保駅が廃駅とならず残されたのも松浦鉄道の優しさでしょう。

結果、鉄道線において日本一短い駅間距離の区間が誕生しました。

 

 

中佐世保駅との決定的な違いは有人駅であること。

日に1000人近い利用があるため、乗車券や定期券の販売を行い、

各列車の到着時にお出迎え・お見送りをしてくれます。

 

なぜかめちゃくちゃ遠くから松浦鉄道を応援してくれてる広告。

歩いたら241時間かかるんだって。

 

伊万里行きの列車がやってきました。

これに乗車し、最後は中佐世保駅への後面展望で締めましょう。

 

駅員さんが見送る中、佐世保中央駅を出発。

 

アーケードを渡るころにはすぐに加速をやめてしまいます。

 

ゆっくりと国道35号をオーバークロスし、ブレーキがかかります。

 

はい、中佐世保駅に到着です。走行時間わずか40秒ほど。

 

 

港に近い位置に作られた佐世保駅に対して、より市街地寄りの駅として作られた

中佐世保駅。後年出来た商業施設と病院・商店街へのアクセス利便性向上のために

作られ、松浦鉄道の利用者増加へ貢献している佐世保中央駅

両駅とも末永く利用され続けてほしいですね。

 

 

松浦鉄道の旅の様子は、今公開していっている九州旅行記でじきに出てきます。

鉄道線において日本一短い駅間距離、中佐世保駅佐世保中央駅を先行して紹介しました。

『駅がたり』のコーナー、次回もお楽しみに。