2019年9月の旅行記です。
木次線の観光列車『奥出雲おろち号』で備後落合駅へやってきました。
日本屈指の閑散ローカル線が落ち合う備後落合駅で、
2時間ほど乗り換え待ち時間を過ごします。
2019年9月7日(土)
12時36分、楽しかった『奥出雲おろち号』の乗車を終え備後落合駅に到着しました。
備後落合駅は、無人駅とはなっていますが、地元の人によってしっかり管理されており、駅舎内には芸備線・木次線のかつての写真や資料が展示されています。
芸備線への乗り換えは上下方向とも2時間以上待ち時間があるため、
『奥出雲おろち号』に備後落合まで乗ってきた乗客は、
ほとんどが折り返しの列車に乗って戻ってしまうようです。
出発を待つおろち号。
緑の中にこの車体の色は映えますねぇ。
折り返し時間は20分ほど。
12時57分、『奥出雲おろち号』は駅に駐在する元国鉄マンのボランティアガイド
に見送られて、木次へ向けて出発して行きました。
本日のこれから残りの行程です。
この日の内に関西へ戻ります。
うへぇ長い…
備後落合駅の時刻表。(2019年当時)
各方向とも非常に少ない運転本数。
木次線木次方面行き→定期列車は3本
芸備線東城・新見方面行き→3本
14時台の列車は各方向への列車が近接しています。
一日で唯一、3方向ともに列車が落ち合う時間となっています。
備後落合駅データ
【駅名】備後落合 (びんごおちあい)
【開業】1935(昭和10)年12月20日
【構造】地平駅、2面3線
【設備】無人駅
静かになった駅ホーム。
駅には数人しか残っていません。
芸備線が使用する島式ホームには待合室があります。
ここで、『奥出雲おろち号』内で色々あって食べられなかったお昼ごはんを。
列車に乗るのに夢中になってて食べ損ねていた八川駅のトロッコそば弁当。
山菜や薬味がのっているのが特徴の八川そば。
少しのびちゃってました。せっかく買ったら早めに食べないとね。
かつては列車の運行拠点として多くの鉄道マンで賑わった備後落合駅。
列車が気動車になってからも、陰陽連絡列車やこの駅までの急行列車が運行されましたが、今は山間の乗り換え駅として静かな時を過ごしています。
少し駅を出てみました。
メインストリートへのアプローチはあまり距離がありません。
緩い坂を下りると、小鳥原川を渡り、国道314号線に出ます。
この国道314号、木次から奥出雲おろちループを通り、備後落合駅前から芸備線沿いに東城へ至る国道で、備後落合駅が名のある秘境駅であるのもあって、備後落合駅にはライダーが多く立ち寄るようです。
備後落合駅入口の看板。国道沿いに〒マークが見えますが、こちらの簡易郵便局は現在一時的に閉鎖となっているようです。
1kmほど西に向かうと、国道沿いに『ドライブインおちあい』があり、
かつて備後落合駅ホームで提供されていた名物のおでんうどんが食べられるそうですよ。
駅に戻ってきました。ライダーさんいっぱい。
びんごおちあい作文。
たくさんの資料や駅ノートを見たり、ボランティアガイドさんの話を聞いていたりすると、待ち時間も全然苦ではありません。
体感あっという間に2時間ほど経ち、各方面から列車がやってくる時間になりました。
まず、折り返し三次行きとなる芸備線の列車が到着。
車両には、「がんばろう!芸備線」の文字。
当時、平成30年7月豪雨の被害を受け、広島方面の一部区間が不通となっていました。
続いて、折り返し新見行きとなる列車が入線。
これで3方向へ向かう列車が落ち合いました。
3両ともキハ120形ですが、所属が全て違うため、カラフルです。
一日で備後落合駅が一番賑わう時間かもしれません。
青春18きっぷ利用期間ですので、なおさらです。
三次以東の芸備線
備後落合 14時43分 → 三次 16時03分 芸備線 普通 三次行き
下関総合車両所広島支所に在籍する紫帯のキハ120で東へ。
なんとか着席できたものの、かといって車内徘徊する余裕はないほどの乗車率。
この混雑も18きっぷ効果であるのは間違いなく、地元利用があまりにもないため、
大きな町がない&運転本数があまりに少ない備後庄原~備後落合~東城~備中神代間が議論の対象となっており、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づいて、民間企業であるJR西日本と自治体の間に国が関与する形で今後の在り方が話し合われています。
同じように過疎地ローカル線を抱えるJR北海道とJR西日本の違いは、線路保守を
簡略化したがために超低速走行せざるを得ない区間があり、鉄道の優位性である
速達性を自ら捨てている点。沿線自治体も未だに存続のための費用負担について
否定的であり、かといって鉄道を残したい、の一点張りであり、協議が無駄に
長引いた上でバス転換、という将来が見えているような気がしないでもありません。
庄原からは三次を経由して広島市内へ直通する高速バスが毎時1本程度運行されています。
塩町駅で1時間以上待っていても何もできないため、三次まで行ってしまいます。
備後落合から1時間20分で三次に到着。
平成30年7月豪雨災害の影響で、中三田までの暫定復旧運行がされています。
この時点で中三田~狩留家間が不通で、この後2019年10月23日に全線復旧しました。
福塩線の旅
三次駅の跨線橋から俯瞰。
広島方を望みますが、右に分かれていく三江線は2018年度末で廃線となっています。
三次 16時53分 → 府中 18時43分 福塩線 普通 府中行き
福塩線は芸備線の塩町駅から分岐し山陽本線の福山駅まで78kmを結ぶローカル線。
うち、塩町~府中までが非電化区間となっていて、キハ120形が運用されています。
この車両が登場するということは利用が少ない区間であり、三次~府中通しの
列車は毎日運転のものは5往復しかありません。
日中、8時間ほど運行のない時間帯があるため、沿線学校の行事等と合わせて
非常に運転日を限定させた臨時列車が午後に1往復走ります。
中国山地の山と山の間の狭い平地を南へ下っていく路線で、
塩町~吉舎で馬洗川、備後安田~上下で上下川、備後矢野~府中で矢多田川~芦田川
と、路線のほとんどを川沿いに走行します。
三江線のように川沿い区間のほとんどで徐行運転を行い、非常に遅いです。
備後三川駅~河佐駅間では八田原ダム建設によって付け替えられた直線トンネルを走行します。
沿線に町がないわけではないのですが、どうにも旅客の動向に合っていない路線のようでした。
三次から61.5km。1時間50分かけて府中に到着。
ここから先は福山近郊の区間ということで電化され、105系電車が運行されています。
列車は夕方ということで4両編成。
部活帰りの高校生など多く乗車していました。
電化区間の福塩線は、日中毎時1本程度、朝夕は30分に1本程度運転。
神辺駅から福山へは一日数往復、井原鉄道からの直通列車も加わります。
三次 18時42分 → 府中 19時30分 福塩線 普通 福山行き
いざ福山へ。
時間帯的に、福山へ向かうよりは府中より各駅でお客を降ろしていく需要が多い
時間だったようで、4両編成の電車はどんどんガラガラになりながら福山に着きました。
山陽本線を東へ
福山 19時54分 → 岡山 20時43分 山陽本線 快速サンライナー 岡山行き
もはや懐かしいですが、117系で運転の快速サンライナーに乗車。
すでにこの時、専用種別幕の掲出はなくなり、運転も夕方以降のみになっていました。
途中、東福山・笠岡・新倉敷・倉敷のみに停車。
所要時間48分はこの年の最速ダイヤ。
中間モハに座れば、フカフカ椅子とMT54の爆音でもう最高でした。
気付けば列車・車両共に過去のものに。
岡山地区の列車減便によって快速サンライナーは2022年3月ダイヤ改正で廃止。
117系の一般車両も運用を終了してしまいましたね。
岡山 21時09分 → 姫路 22時33分 山陽本線 普通 姫路行き
マリンライナー以外国鉄型王国だった岡山地区も、227系500番台(Urara)
の投入により牙城が崩れつつあります。
姫路 22時56分 → 三ノ宮 23時35分 JR神戸線 新快速 野洲行き
人身事故からの復旧直後でダイヤが乱れていたJR神戸線。
乗車した新快速は運転再開一番列車だったようで。
こうして、備後落合駅から約9時間かけて関西へ帰ってきました。
『奥出雲おろち号』もなくなりましたが、秘境のターミナル駅がなくなる前に、
もう一度くらい訪れてみたいな、と思っております。
三段式スイッチバック、今度はキハ120で!
次回も同じく2019年の旅行記をお送りします。
お楽しみに。