これも古めのネタにはなるのですが、
3月の北陸旅行でさよなら乗車してきた
『食パン電車』こと、419系について書きます。
419系は、国鉄時代末期に、
余剰となっていた交直流寝台電車581・583系を改造して
製造された近郊型電車。
そもそもの種車である581・583系は、
1967年10月ダイヤ改正にデビューした
昼夜兼用の寝台特急電車で、
最初に新大阪〜博多の寝台特急『月光』に投入されたことから
月光型の名で親しまれた名車です。
北は青森から南は鹿児島まで、夜行・昼行問わずに運用されていましたが、
新幹線の開業などで、活躍の場が減るのに時間はかかりませんでした。
余ってしまった581・583系をどうしようか。
国鉄の出した答えは
『地方の普通列車に改造して転用しよう』というもの。
周波数の異なる2つの交流電化の3種類があり、
電源がまたがる区間の普通列車に使うことに最適と判断したのです。
改造車は3種類が作られました。
・交流電源60Hz専用→715系0番台(九州地区用)
・交流電源60・80Hz対応→715系1000番台(東北地区用)
・直流・交流3電源対応→419系(北陸地区用)
普通列車だと長大編成を組む必要がないため、
少ない両数で多くの編成を作ろうと
中間車からの改造で先頭車が作られました。
この改造先頭車が、いわゆる『食パン』顔になりました。
東北や九州へ行った715系は、交流区間でのみの運用だったためか
JRになって比較的早くに後継車が作られて引退しましたが、
北陸の419系は2011年3月まで生きながらえました。
交流・直流の区間をまたがって運用されており、
高価な交直流電車の後継車はなかなか製造されず、結果として
(現在の583系充当定期列車は、大阪〜新潟の夜行急行『きたぐに』のみ。)
長々と説明しても仕方がないので、写真を(^^;
米原方先頭車、クハ419。
月光型そのままの形です
ごつい横顔。
扉は583系そのままのサイズの狭い折戸です。
方向幕をアップで。
車内。高い天井は3段寝台車だった名残。
寝台は収納されたまま、座席にもロックがかけられて
座席から寝台への転換は不可能になっています。
座席。座り心地はとっても良いです。
肘置きと、小さなテーブル付き。
カーテンも良いです。
トイレ。左の業務用も、元はトイレで、入れないようになっています。
トイレの向かいには洗面台跡があります。
/どやー\
食パン先頭車、クモハ419。
見事に車両の断面そのままです。
富山駅にて475系との並び。
急行型から格下げの455・475系シリーズより、
419系はひと足先の引退となりました。
2011年3月11日を以って全車が運用から外れ、順次廃車が進んでいるようです。
もともとの構造は決して、普通列車に適したものではなく、
狭い乗降口や車内など、不便な点もありながら、外観もものすごいインパクト。
利用者にとって、記憶に残る迷車であったことは間違いなく、
引退もJRから公式な発表は全く無かったにも関わらず、
地元の新聞社の報道が一番の情報であったほど。
北陸地方の短編成高頻度、いわゆる『電車型ダイヤ』への移行に貢献し、
20年以上に渡って『食パン電車』として愛された
こんな名車の存在を、忘れない。
※食パン電車3兄弟について扱った動画が、ニコニコ動画に存在します。
419系→国鉄の置き土産 食パン419系【迷列車列伝#02】
715系0番台→めい列車【九州編】#13 太陽と月のエチュード
715系1000番台→【迷列車/東北ローカル編】愛すべき迷車 〜東北の食パン電車〜