青春18きっぷの残り1回分を使って名古屋に行ってきました。
愛知県は圧倒的に車社会だと言われていますが、
それに対抗するためか、工夫をこらした一風変わった
公共交通機関が点在しています。
全てここでしか見られない一点ものの乗り物を3つ。
訪ねてきたのでレポートしたいと思います。
2022年9月10日(土)
名古屋から地下鉄東山線に乗って終着、藤が丘にやってきました。
一社駅を出たところから藤が丘まで3駅間は高架を走ります。
藤が丘駅の先に車庫があるため、藤が丘駅は2面2線でありながら
乗車ホーム・降車ホームが完全に分けられています。
駅の先には引き上げている車両が見えます。
その藤が丘駅の地下から発着するのが今回取り上げる最初の乗り物です。
リニモ
2005年に開催された愛知万博(愛・地球博)会場へのアクセス路線として建設された
日本初の浮上式リニアモーターカーで運行される路線。
愛知万博開催当時、会場まで近未来感の演出に貢献しました。
藤が丘から、愛知環状鉄道と接続する八草まで8.9kmを17分で結びます。
万博終了後は、それまで鉄道空白地帯であった長久手市への足として活躍。
日中8分間隔で運行されています。
藤が丘駅は地下で2面2線構造。ホームはハの字形になっています。
100形車両の車内は意外にもボックスシート構造のセミクロスシート。
無人運転のため先頭部にはかぶりつき席もあります。
地下区間は最初の一駅間のみ。すぐに地上に出ます。
発車するときも滑るように発進し、もちろんジョイント音もなくすごく静か。
この軌道を抱きかかえるようにして走っていますが、
ドラえもんじゃないですけどずっと浮いてるんですよね~。
急カーブ、急勾配もなんのその。
郊外に出ると比較的運行速度も上がります。最高速度は100km/h。
車内の路線図。各駅にはナンバリングの他にロゴマークも設定されています。
窓が大きく、軌道が高いところにあるため眺望はいいです。
先頭部。ほぼガラス張りなので展望良好。
一応運転台は設置されていて、有事の際は有人運転がされます。
先頭部には入れませんが、この位置で前が見られる座席が設置されています。
万博開催期間中は、ずばり『万博会場駅』を名乗っていました。
途中駅で唯一2面3線構造です。
愛・地球博記念公園駅付近。
万博会場跡は公園や地域住民交流施設として再整備されています。
17分の乗車はあっという間。八草駅に到着です。
線路終端部。軌道分岐部の造りが面白いですね。
万博期間中は『万博八草駅』を名乗っていました。
愛知環状鉄道との乗り換えは通路を通ってすぐです。
万博輸送を支えた面影は、施設縮小のためあまり感じられません。
名古屋から中央本線経由で10両編成のアクセス列車が入線していたホームに、
今は2両編成主体の普通列車が運転されています。
この日は3年ぶりのせともの祭りで大変賑わっていました。
名鉄瀬戸線で栄に戻ります。
名鉄瀬戸線は成り立ちから名鉄の他線と全く接続しない孤立路線です。
名古屋側の起点、栄町に到着。
栄のバスターミナルは、栄町駅隣接、この『水の宇宙船』と呼ばれる大屋根の下に位置しています。これから名古屋の一風変わった交通システムに乗車します。
基幹バス
市電が全廃された1974年以降、道路混雑が悪化していた名古屋市において
道路上の公共交通機関を優先するための施策として構想が進められ、
1982年に1路線目の基幹1号系統東郊線が運行開始。
バスレーンを道路端に設け、他の路線バスと比べて停留所間隔を広げるなどして
速達性を高めました。
そして1985年に運行開始したのが2路線目、基幹2号系統新出来町線。
(栄~市役所~引山方面)
これが今回乗車する路線です。
栄バスターミナルを出て間もなく、大津通バス停から専用レーンに入ります。
この系統はバスレーンを道路中央に設置。
まるで路面電車のような構造をしています。
レーンが中央にあるため、停留所も道路上に設けられています。
停留所外観。見れば見るほど路面電車。しかし来るのはバスです。
途中停留所の時刻表。
市営バスと名鉄バス合わせて結構な本数がやってきます。
接近案内も設置されています。
専用バス停にバスが停車している光景。
バスレーンはラッシュ時間を除いてあくまで優先レーンのようで一般車両も走行しています。
右折レーンの右からも直進車が来るのは難易度高い…
こちらは名鉄バス。こちらは名古屋の名鉄バスセンター発着です。
市営バスは2つの系統が乗り入れるため続行することもあります。
一部区間重複する一般の路線バスは専用レーンを通らないんですね。
これまた面白い。
停留所から到着するバスを見るとこんな感じです。不思議ですね。
一応、バス停付近は一般車はレーン外へ出るよう誘導されていますが、
バス停で待ってて何台も一般車両が通過していきました。
長い停留所間隔と専用レーンで確かに普通のバス路線よりは
運行がスムーズであると感じました。
専用道・レーンを用いずに快速バスレベルでBRTを名乗る例が各地に見られますが
名古屋が先駆け且つ最優秀の例なのでは。
地下鉄で大曽根に移動してきました。
ここから3つめの交通機関に乗ります。
名古屋ガイドウェイバス(ゆとりーとライン)
ガイドウェイバスとは、ガイドレールを備えた専用軌道上を走行するバスで、
案内輪を備えてハンドル操作が不要な半自動運転を実現しつつ、一般道路でも普通の
バスとして走行可能な新交通システムです。
2001年に大曽根~小幡緑地までの6.5kmが開業し、この区間を名古屋ガイドウェイバスが運営。小幡緑地より先、中志段見を経て高蔵寺駅までの名古屋市営の路線バスと直通運転しています。
大曽根駅東側。右に曲がってまっすぐ延びる高架の上をバスが通ります。
ガイドウェイバスとありますが、軌道法に基づいた鉄道であり、発着場も駅とされています。
改札口。通常のバスと同じく後払いであるため入口はスルー。
逆に出口にはバスの運賃箱と同じものが設けられ運賃収受が行われます。
降車が集中する大曽根駅のみの設備です。
ホーム。降車ホームと乗車ホームに分かれています。
軌道端にあるのが案内軌条で、バスから出る案内輪を沿わせて走ります。
そのため高架区間を走行する際ハンドル操作は不要となります。
高蔵寺行きのバスが入線。
車両は日野ブルーリボンシティを改造したリフト機能付きツーステップバス。
一般道路を走行する際、案内輪を格納する必要があるためノンステップにはできなかったようです。
車両から出る案内輪。これを軌道端に押しつけて走ります。
土曜の昼間ですが車内は大混雑。
通路まで満員で大曽根駅を出発しました。
そのため高架区間の写真はありません。悪しからず。
イベントがあれば多客が見込めるナゴヤドーム最寄りはこの路線のナゴヤドーム前矢田駅。
車両はバスを使用しているとはいえ信号がないため高架区間の運行はスムーズ。
エンジンを唸らせ最高60km/hで走ります。
速達性でいえば通常のバス路線と段違いに早いです。
高架区間はアップダウンがあるもののバスなのでへっちゃらです。
各駅で細かく降車がありました。
高架を降りてインターチェンジを通過。案内輪を格納します。
ここから一般道に入り、名古屋市交通局の一般バス路線として高蔵寺駅を目指します。
全線通して39分。JR高蔵寺駅に到着。
見た目、一般のバスと変わりませんね。
以上、名古屋の変わり種交通機関3種を紹介しました。
どれも全国導入されていないところを見ると、コスト面等で課題もあるのかな…
と思いますが、公共交通の未来を見せられた気がしました。